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さくらのぶらじゃぁ初体験 21

管理

「知世ちゃん?……」
「さくらちゃん……」
 肩越しに自分を見ているとろけるような笑みに、さくらは内心ドキドキしていた。鏡に写った、ほとんど裸の身体を見られているという実感が強くなり、恥ずかしくてたまらない。
 そんなさくらの戸惑う表情まで愉しんでいるかのような笑みを浮かべた知世は、口付ける程、耳たぶに唇を寄せると、微かな声で、
「触っても………よろしい……ですか?……」
 くすぐるような問いかけに、さくらは、こくんと唾を飲み込んだ。もちろん答えはNo。こうやって鏡越しに見られるのだって、今すぐに止めて欲しい。
 でも、さくらにはそれを口にする事が出来ない。
 もし嫌だと言ったら? 間違いなく知世は、触るのをやめてはくれるだろう。だが、さっきは散々に知世の胸を見つめ、触りまくった手前、自分が触られるのは嫌だなんて言えない。知世だって、触れた時には思わずうずくまってしまった程だ。恥ずかしかったに違いないのだから。
 何も答えないさくらを、知世はただ黙って鏡越しに見ている。答えを急くこともなく、押し付ける事もせず、ただ優しい笑みでさくらの表情を見つめている。

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さくらのぶらじゃぁ初体験 22

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「……?どうか……されましたか?……」
「今のそれ、なんだか、びくってなっちゃうの……なんだろう?……」
 知世もさくらの指摘を不思議そうに訊いた。
 確かめるため、もう一度、掌で撫でる。今度は声が出ない。
 何度か撫で方を変えた知世は、掌の真ん中で乳首を擦ったとき、さくらが声を上げる事に気付いた。
 掌を膨らみの下へさげると、人差し指で、先よりもなお慎重に、やさしく乳首をくすぐってみる。
「ひゃッ……はうぅ……」
 さくらはたまらず声をあげ、もじもじと身体をくねらせ、腿をすり合わせる。なんだか、腰の奥がへんな感じで、じっとしていられない。
 さくらちゃんの乳首、大きくなっていますわ……
 知世は、指先が捉えた変化に気付いた。乳暈から微かに頭を出していた乳頭が、先ほどより少し大きくなって、突き出している。この突出が、撫でたときに掌に触れたのだろう。
 お母さまのおっぱいと、同じみたい……ですわね……
 さくらには話さなかった、園美の乳房を吸った時の記憶が知世の脳裏をよぎった。園美はこれを、おっぱいを赤ちゃんにあげたくなったサインだと言っていた。でも、さくらにはもちろん、赤ちゃんはいないし、木之本家では最年少。弟も妹もいないから、冗談でも赤ちゃんにおっぱいを吸わせた事などないだろう。

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さくらのぶらじゃぁ初体験 23

管理


 さくらは、前の姿見に写る自分を見た。
「うわぁ………」
 思わず、感嘆の声があがる。
 ほぼ「気をつけ」の姿勢で、まっすぐに立っているさくら自身が写っていた。ショーツと、胸の部分だけを、真っ白な布地に包まれ、かわいらしく刻まれたお臍が見えている。
 初めて見る、ブラジャーを着けた自分自身。
 正確には、セパレート形式の水着を持っているから、これに近い姿を自分で見たことはあるはずだ。
 けれど、これがブラジャーだと思うだけで、なんともいえない感動が湧き上がるのは何故なのだろう?
 入浴する前、脱衣所を兼ねている洗面台の鏡に、下着姿や裸の自分が写ったりするのを見ることがあるが、もちろん、こんな胸の高鳴りを覚えたことはない。
「うん……うんッ!……」
 誰に向かってでもない、けれど力強い相槌を打ちながら、さくらは姿見の中の自分に夢中だった。
 顔を寄せ、少し前かがみになって、頭を右や左に傾けて胸元を見ていたかと思うと、急に上体を起こし、腕を後ろに回すようにして、胸を姿見に向かって突き出し、ためつすがめつ眺めていた。
 かと思うと、突然にバンザイをし、頭の上の方で手首を掴んで、体操でもするように、身体を傾けたり、捻ったり──。
 そんな興奮状態のさくらを、知世は二歩ほど引いたところから、笑みを浮かべて見つめていた。
 瞳をキラキラと輝かせるさくらの表情は、見ていて見飽きる事がなく、幸せで胸躍るひと時だった。

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さくらのぶらじゃぁ初体験 24

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 一瞬の間。
「…………」
 言葉も無く、触れるでもなく、ただ正面を向き合う二人。お互いに、お互いのブラジャー姿をじっと見つめる無言の時間──
「うふふ………」
「あはは………」
 どちらから、というわけでもなく、笑みが浮かび、笑いあった。ほとんど変わらないはずなのに、裸の胸を見られたときのような恥ずかしさはなくなって、なんだか嬉しい気持ちが湧き上がる。
「さくらちゃん、とっても、可愛いですわ」
「そんな事ないよ。知世ちゃんの方が、すごくキレイで可愛いよ」
 さくらの一種のクセ。自分が褒められると、ついそれを打ち消すような言葉を発してしまう。控えめな心が生み出す心理なのだろう。それが判っているから、知世はあえてそれ以上は言わない。
 また、しばらく笑みを浮かべて、互いの下着姿を見つめあう。
 均衡を破ったのは、さくらだった。
 急に膝を折り、屈みこむ。床に積み重ねてある、制服をたたんで重ねた山を上から丁寧にどけていき、中着に指定されている濃紺のハイネックを取り出した。
「?」
 不思議そうに見つめる知世にはお構いなしで、さくらはハイネックに頭を通し、片方づつ、高々と腕をあげて通すと、裾を引っ張って身につける。 

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さくらのぶらじゃぁ初体験 25

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「えぇ!? だ、ダメだよ。今日の体育で使ったもん!」
 さくらは驚きの声をあげ、言った。まるで盗られまいとするかのように、体操着をしっかりと胸に抱きしめる。
 自分が着用した衣類──きちんと洗濯した後の物ならばともかく、汗の染み込んだそれを他人に貸すなどというのは、さくらにしてみれば言語道断だ。
 だが、知世はにっこりと笑うと、
「大丈夫ですわ。私は気にしませんもの……それに、私の体操着がお洗濯を終わって、乾いて戻ってくるのを待っていたら、ずっと遅くなってしまいます。なるべく早く、体操着でどう見えるか、確かめたいんです。お願いですさくらちゃん。貸していただけませんか?」
 そう言いながら両掌を合わせ、お祈りをするようにさくらに迫る。
「で……でも……」
 さくらは、知世と両手で抱きしめた体操着を交互に見つめた。
 知世の言う事はもっともである。なにしろ、本当にブラジャーを着けて学校に行くのは知世なのだ。知世でどう見えるか確かめないと、本来の意味は果たせない。
 自分の汗の染みた衣類を貸す事は躊躇われるが、まさか、洗濯と乾燥が終わるまで、このほとんど裸の格好で待っているわけにもいかないだろう。

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さくらのぶらじゃぁ初体験 26

管理

「わ、わかりました。もう嗅いだりしませんから……」
 身体を動かす事では、知世はさくらに勝てっこない。早々に降参の意思を示すと、さくらはそれ以上、無理やりに取り替えそうとはしなくなった。
「ホントに?」
 念を押すように、さくらが訊く。知世がそれに頷くと、信じてくれたのか、手を離してくれた。
 だが、立ったまま、じっとこちらを見ているのは、もう一度、匂いを嗅ぐ動作に入ったら、すぐに取り戻そうというつもりなのだろう。
 知世は、さくらの体操着を拡げると、身を乗り出してこちらを見つめるさくらに一度笑みを見せてから、まず袖を通すため、腕を差し入れた。
 片方づつ、万歳をするように腕をあげ、両方の袖が通ったのを確かめてから、ゆっくりと頭に被る。首周りを通すのを、少しもたついたフリをすれば、もう一度、さくらの匂いを胸いっぱいに吸うことができた。
 頭を通し、両手をうなじに差し入れて、長い髪を引き出すと、軽く左右に振って髪の流れを整える。
 あとは裾を下腹まで下げれば、体操着の上だけを着て、その裾から白いショーツを垣間見せる、長い髪の美少女の完成だ。
 男性が見たら、理性をふっ飛ばしかねない、しどけない姿を、さくらはじっと見つめている。

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さくらのぶらじゃぁ初体験 27

管理

 ハンガーに吊るされた紺色の襞スカートはそのままに、白いセーラーを丁寧に外すと、早速袖を通してみる。
 最初に右腕、続いて左。頭を被り、髪を通す一連の動作を、さくらはじっと見詰めていた。
「いかがでしょうか?」
 知世が訊く。上だけみれば友枝小学校の制服だが、下はスカートを着けていないきわどい格好。
 だが、さくらはフルフルと首を横に振った。
 見えてしまうのだ。
 知世も姿見で確認したが、先ほどの体操着同様、白くて薄めの布地一枚でできている夏の制服は、下に着けているブラジャーのラインを透かしてみせてしまう。
 それから二人は下着姿のまま、あぁでもない。こうでもないと、ウォークインクローゼットから様々な洋服を引っ張りだし、上半身に着るものだけを次々に試してみた。
 その結果、色の濃い服なら透けて見えない事が確認できた。色が薄いものでも、真冬に着るような布地の厚いものなら大丈夫。たとえば、真冬用の体操着はラインが見える事は無かった。
 果ては、さくら用の「特別なコスチューム」もいくつか試す事になった。
 さくらは、半分は困った顔をしていたが、これも知世のためと自分を説得し、なにか良いヒントが見つかる事を祈りつつ、いくつかの衣装に袖を通してみた。
 結果、胸に飾りのあるようなものなら良いが、対ウォーティー戦の時に着たような密着型ではラインが浮き出る事も判明した。

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さくらのぶらじゃぁ初体験 28

管理

「知世ちゃん!!」
 一挙動で立ち上がると、呆然とする知世の両手をしっかりと握り締め、
「これ!ブラジャーを買ったお店に、わたしを連れていって!」
 突然の事に、流石の知世も、瞬時にさくらの意図を理解できなかった。
「ど……どうしたんですか?……」
「わたしもブラジャーを買うの! それで、今度の体育の時に、おんなじのを着けていくの! クラスではじめてが、ひとりだったら恥ずかしいかもしれないけど、ふたりで一緒なら、はじめてもふたりだもん! それなら恥ずかしくないでしょう?」
 一気にまくし立てるさくらに、知世は目を丸くした。
 同時に、さくらの力説する内容が頭に浮かぶ。
 体育前の更衣室。ふたり並んで、このブラジャーを着けていたら? クラスメイトの視線が注がれたとしても、それは当然、ふたりに分けられる事になるだろう。自分ひとりが衆人環視に晒されたら、確かに耐え切れないくらい恥ずかしいだろうが、ふたりでなら恥ずかくない──とまではいえないが、耐え切れない程、ではないはずだ。
 なにしろ、独りきりではなく、ふたりなのだから。

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さくらのぶらじゃぁ初体験 29

管理

 園美は、今朝は早く会社へ出社した。ほとんどすれ違いで、知世とは朝の挨拶を交わしたくらいだった。
 午前中は役員や担当部署との会議・打ち合わせに追われ、昼食を兼ねて外出。大道寺グループとしては重要な契約書の取り交わしだったため、社長自ら出向く形になった。
 精鋭揃いの園美の部下にはそつが無く、契約は順調に交わされた。握手をして、相手先を辞したとき、予定の時間より少し早めに終わった事に気づいた。
 こなした仕事の質から考えれば、このまま直帰してもいいケースなのだろうが、園美はすぐに次のプロジェクトの進捗を車載電話で確認し、その打ち合わせを夕刻にセッティングした。
 だが、その打ち合わせに使う資料は、昨夜、寝室で目を通したため、自宅に置かれている。
 取りに帰るか、メイドに会社まで持ってこさせるか。
 時計を見ると、頃合もいい。この時間で帰れば、知世は帰宅しているはずだ。
 打ち合わせや進捗によっては、また帰りが深夜になるかもしれない。夕飯を一緒に出来ない可能性を考えれば、お茶でも飲みながら、愛娘と語らっておきたい。
 そう判断した園美は、運転手兼ボディガードに自宅へクルマを向けるように指示した。

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さくらのぶらじゃぁ初体験 30

管理

 最初に認識したのは、人が四つん這いになっている姿だった。次に、びっくりした表情でこちらを見ているその顔が、記憶の中のさくらの顔と一致した。更に、腕を前脚のようにして支えられているさくらの身体が、白いショーツ一枚を除いて、何も衣類を身に着けていない事に気づいた。
 その白いショーツに包まれたお尻の下、健康そうな肌色の腿の間に、もう一本、別の脚が突き出しているのが網膜に映った。
 その脚は、仰向けに横たわった人物のものだった。脚の一本をさくらに跨れ、上に覆い被さられる形になっているその身体もまた、衣類は身に着けていなかった。その証拠に、白い肌の色が見えてしまっていた。
 そして、呆然とこちらを見ているその人物の顔は、決して忘れる事のない、愛娘・知世の顔だった。
 それら視覚が得た情報が、頭の中で統合される。
 つまり、裸で横たわる知世の上に、裸でさくらが覆いかぶさっているのだ。互いに抱き合い、脚を絡めて。
 園美の理性は、この視覚情報を何かの間違いだと思おうとした。ありえない事だ。さくらが知世に覆いかぶさっているなんて。
 しかも「裸」で。
 そんな事があるはずがないと否定したかった。
 だが、夢でも幻でもなかった。目の前で、間違いなく、知世の上にさくらが覆い被さっている。
 それも「裸」で。

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