さくらのぶらじゃぁ初体験 46
管理
「あああ!!」
あがった声に、さくらの肩がビクッと跳ねた。
声のした方をあわてて振り返ると、タンクトップ姿の柳沢奈緒子がこちらを指差している。
「さくらちゃん、それ、ブラジャー!?」
興味津々の声で訊く奈緒子。「ブラジャー」という単語に更衣室中の女のコ達が一斉にさくらの方を振り返った。
「あ、知世ちゃんも!」
今度の声は、三原千春。
すでに着替え終わって体操着姿のコから、まだ途中のコまで、すべての目がさくらと知世い注がれ、そして、わらわらと二人の周りに集まってきた。
まさに、二日前、さくらと知世が恐れたとおりの状況である。取り囲まれ、衆人環視の下、初めてのブラジャーを見られる──実際にその現場に立ってみると、恥ずかしさは桁違い。ひとりでだったら、とても耐えられなかっただろう。
だが、ふたりで一緒に着けてきた事で、お互いを心の支えにできたさくらと知世は、ロッカーを背に、互いに少しづつ外側を向いて、周りの女のコにブラジャーを見せられるだけの余裕があった。
「あああ!!」
あがった声に、さくらの肩がビクッと跳ねた。
声のした方をあわてて振り返ると、タンクトップ姿の柳沢奈緒子がこちらを指差している。
「さくらちゃん、それ、ブラジャー!?」
興味津々の声で訊く奈緒子。「ブラジャー」という単語に更衣室中の女のコ達が一斉にさくらの方を振り返った。
「あ、知世ちゃんも!」
今度の声は、三原千春。
すでに着替え終わって体操着姿のコから、まだ途中のコまで、すべての目がさくらと知世い注がれ、そして、わらわらと二人の周りに集まってきた。
まさに、二日前、さくらと知世が恐れたとおりの状況である。取り囲まれ、衆人環視の下、初めてのブラジャーを見られる──実際にその現場に立ってみると、恥ずかしさは桁違い。ひとりでだったら、とても耐えられなかっただろう。
だが、ふたりで一緒に着けてきた事で、お互いを心の支えにできたさくらと知世は、ロッカーを背に、互いに少しづつ外側を向いて、周りの女のコにブラジャーを見せられるだけの余裕があった。
さくらのぶらじゃぁ初体験 45
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「……そ……そうね……わかったわ」
園美としても、これは利害が一致する。異を唱える必要はない。そして、ちょっと刺激の強い会話だったためか、それまで心を支配していた怒りを忘れていた。
丁度そこへ、別のヘッドライトが近づいてくる。
振り返ると、車種は違うがやはり欧州の高級乗用車。大道寺家所有のものだ。
「お嬢様をお迎えにあがりました」
運転席から降りた黒スーツの女性がうやうやしく告げた。園美は書類も持ったし、会社で会議を待たせている。木之元家の位置からだと、一度戻って知世を降ろすとかなりの遠回りになるため、知世には別の車を差し向けるよう、園美が自動車電話で呼んでおいたのだ。
「……そ……そうね……わかったわ」
園美としても、これは利害が一致する。異を唱える必要はない。そして、ちょっと刺激の強い会話だったためか、それまで心を支配していた怒りを忘れていた。
丁度そこへ、別のヘッドライトが近づいてくる。
振り返ると、車種は違うがやはり欧州の高級乗用車。大道寺家所有のものだ。
「お嬢様をお迎えにあがりました」
運転席から降りた黒スーツの女性がうやうやしく告げた。園美は書類も持ったし、会社で会議を待たせている。木之元家の位置からだと、一度戻って知世を降ろすとかなりの遠回りになるため、知世には別の車を差し向けるよう、園美が自動車電話で呼んでおいたのだ。
さくらのぶらじゃぁ初体験 44
管理
その頃、家の外では別の一悶着がおきていた。
ガンガンと金属を叩く音がする。それは、園美が悔しさのすべてを助手席のドアに叩きつけている音だった。
見ている知世も、サングラスで表情の見えないボディガード達も、額にじとっとした汗を浮かべ、園美を遠巻きにしている。
黒塗りのセダンは、俗に「高収入」と称される「一般人の一桁上の年収」を全てつぎ込んだとしても、2年近く分を要するヨーロッパ製高級車。ドアに靴の裏を叩きつけて出来たヘコミの修理には、おそらく大衆車一台分くらいの費用を要するだろう。それが母親──自分たちのボスの、まるで駄々っ子のようなワガママによるものだと思うと、ため息のひとつくらいは漏れようというものだ。
その頃、家の外では別の一悶着がおきていた。
ガンガンと金属を叩く音がする。それは、園美が悔しさのすべてを助手席のドアに叩きつけている音だった。
見ている知世も、サングラスで表情の見えないボディガード達も、額にじとっとした汗を浮かべ、園美を遠巻きにしている。
黒塗りのセダンは、俗に「高収入」と称される「一般人の一桁上の年収」を全てつぎ込んだとしても、2年近く分を要するヨーロッパ製高級車。ドアに靴の裏を叩きつけて出来たヘコミの修理には、おそらく大衆車一台分くらいの費用を要するだろう。それが母親──自分たちのボスの、まるで駄々っ子のようなワガママによるものだと思うと、ため息のひとつくらいは漏れようというものだ。