さくらのぶらじゃぁ初体験 28
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「知世ちゃん!!」
一挙動で立ち上がると、呆然とする知世の両手をしっかりと握り締め、
「これ!ブラジャーを買ったお店に、わたしを連れていって!」
突然の事に、流石の知世も、瞬時にさくらの意図を理解できなかった。
「ど……どうしたんですか?……」
「わたしもブラジャーを買うの! それで、今度の体育の時に、おんなじのを着けていくの! クラスではじめてが、ひとりだったら恥ずかしいかもしれないけど、ふたりで一緒なら、はじめてもふたりだもん! それなら恥ずかしくないでしょう?」
一気にまくし立てるさくらに、知世は目を丸くした。
同時に、さくらの力説する内容が頭に浮かぶ。
体育前の更衣室。ふたり並んで、このブラジャーを着けていたら? クラスメイトの視線が注がれたとしても、それは当然、ふたりに分けられる事になるだろう。自分ひとりが衆人環視に晒されたら、確かに耐え切れないくらい恥ずかしいだろうが、ふたりでなら恥ずかくない──とまではいえないが、耐え切れない程、ではないはずだ。
なにしろ、独りきりではなく、ふたりなのだから。
「知世ちゃん!!」
一挙動で立ち上がると、呆然とする知世の両手をしっかりと握り締め、
「これ!ブラジャーを買ったお店に、わたしを連れていって!」
突然の事に、流石の知世も、瞬時にさくらの意図を理解できなかった。
「ど……どうしたんですか?……」
「わたしもブラジャーを買うの! それで、今度の体育の時に、おんなじのを着けていくの! クラスではじめてが、ひとりだったら恥ずかしいかもしれないけど、ふたりで一緒なら、はじめてもふたりだもん! それなら恥ずかしくないでしょう?」
一気にまくし立てるさくらに、知世は目を丸くした。
同時に、さくらの力説する内容が頭に浮かぶ。
体育前の更衣室。ふたり並んで、このブラジャーを着けていたら? クラスメイトの視線が注がれたとしても、それは当然、ふたりに分けられる事になるだろう。自分ひとりが衆人環視に晒されたら、確かに耐え切れないくらい恥ずかしいだろうが、ふたりでなら恥ずかくない──とまではいえないが、耐え切れない程、ではないはずだ。
なにしろ、独りきりではなく、ふたりなのだから。
知世は、さくらの顔を見た。
自分の思いついた「名案」に興奮気味の表情は、とても魅力的だった。
「…………ありがとうございます……さくらちゃん」
さくらが自分の事を考えてくれているのが嬉しかった。
精一杯の笑顔で、さくらに応える。その意味を察したのか、さくらも笑みを返した。
暫し、手を取り合ったまま、互いを見詰め合った。
「じゃぁ、着替えて、行こう?」
さくらが言った、その時──
こん、こん、こん、こん
重い木製のドアを、やや乱暴にノックする音がした。
ぎょっとするさくらに追い討ちをかけるように、ドア越しのくぐもった声が聞こえてくる。
『知世ー。さくらちゃんが来てるんですって?』
まちがいない。よく知ったこの声は、園美だった。
ど、どうしよう。
一瞬、思考が真っ白になり、身体が凍りつく。返事が無いことを不審に思ったのか、更にノックが続く。
「あ……ちょ……ちょっと待ってください」
いつも落ち着いている知世も、流石に下着姿の所へ踏み込まれそうになった事に慌て、なんとか入ってくるのを留めようと声をあげる。だが、そのことがさくらの一層の焦りを産んだ。
焦りは容易にパニックになる。
何を思ったのだろう? さくらは腕を交差させてブラジャーの下端を掴むと、それを一気に捲り上げた。
おそらくは、知世にブラジャーを借りている事と、それが、今、声をかけてきている園美の、母親としての想いが詰まったものだという事が、パニックになったさくらの頭の中で強調されてしまったのだろう。どういうわけか、さくらはこれを脱がなくてはいけないという思いに駆られてしまったらしい。
万歳をするように両手を上げ、膨らみはじめの胸を知世に晒している事も忘れ、一刻も早く、ブラジャーを脱ごうと必死になった。
だが、ホックを背中か胸で止めるタイプと異なり、「初めて用」のブラジャーは、被って着るタイプだ。ということは、脱ぐときもどうしても一度は視界を遮られる。焦っていたさくらは、視界を遮られた事が災いし、つんのめった。
両手がフリーなら、バランスも取れただろうが、腕は頭の上である。
そして、さくらの前には、ほんの数瞬前まで両手をしっかり握っていた知世が──
『きゃぁ!!』
二人の悲鳴と共に、何かが倒れる音が部屋の中に響き渡った。
自分の思いついた「名案」に興奮気味の表情は、とても魅力的だった。
「…………ありがとうございます……さくらちゃん」
さくらが自分の事を考えてくれているのが嬉しかった。
精一杯の笑顔で、さくらに応える。その意味を察したのか、さくらも笑みを返した。
暫し、手を取り合ったまま、互いを見詰め合った。
「じゃぁ、着替えて、行こう?」
さくらが言った、その時──
こん、こん、こん、こん
重い木製のドアを、やや乱暴にノックする音がした。
ぎょっとするさくらに追い討ちをかけるように、ドア越しのくぐもった声が聞こえてくる。
『知世ー。さくらちゃんが来てるんですって?』
まちがいない。よく知ったこの声は、園美だった。
ど、どうしよう。
一瞬、思考が真っ白になり、身体が凍りつく。返事が無いことを不審に思ったのか、更にノックが続く。
「あ……ちょ……ちょっと待ってください」
いつも落ち着いている知世も、流石に下着姿の所へ踏み込まれそうになった事に慌て、なんとか入ってくるのを留めようと声をあげる。だが、そのことがさくらの一層の焦りを産んだ。
焦りは容易にパニックになる。
何を思ったのだろう? さくらは腕を交差させてブラジャーの下端を掴むと、それを一気に捲り上げた。
おそらくは、知世にブラジャーを借りている事と、それが、今、声をかけてきている園美の、母親としての想いが詰まったものだという事が、パニックになったさくらの頭の中で強調されてしまったのだろう。どういうわけか、さくらはこれを脱がなくてはいけないという思いに駆られてしまったらしい。
万歳をするように両手を上げ、膨らみはじめの胸を知世に晒している事も忘れ、一刻も早く、ブラジャーを脱ごうと必死になった。
だが、ホックを背中か胸で止めるタイプと異なり、「初めて用」のブラジャーは、被って着るタイプだ。ということは、脱ぐときもどうしても一度は視界を遮られる。焦っていたさくらは、視界を遮られた事が災いし、つんのめった。
両手がフリーなら、バランスも取れただろうが、腕は頭の上である。
そして、さくらの前には、ほんの数瞬前まで両手をしっかり握っていた知世が──
『きゃぁ!!』
二人の悲鳴と共に、何かが倒れる音が部屋の中に響き渡った。