さくらの恋人候補生 10
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「きゃ!」
手にしていたビデオカメラが床に落ちる。そのまま知世は腰から叩きつけられ、仰向けに倒れた。その上に彼が覆いかぶさると、低い唸り声をあげる。
「いやぁぁぁぁ!」
絶叫した知世は、何とか逃れようと、無我夢中で身を捻った。今の状況で背中──お尻を向けることが、徒になるとも知らず。
彼にしてみれば、よさそうなメスなので押し倒してみたら、自らお尻を向けてくれたのだから、やっていいと思ったようだ。早速とばかり、両前脚でしっかりと身体をホールドすると、腰を「つ」の字に曲げて、知世のお尻をつつきまくる。人間は衣服を着ているのだから、そのまま入るわけがないのだが、畜生にそんな事は判らない。ケダモノの本性を匂わせる忙しない息を耳元に聞き、知世の恐怖は頂点に達した。
「きゃ!」
手にしていたビデオカメラが床に落ちる。そのまま知世は腰から叩きつけられ、仰向けに倒れた。その上に彼が覆いかぶさると、低い唸り声をあげる。
「いやぁぁぁぁ!」
絶叫した知世は、何とか逃れようと、無我夢中で身を捻った。今の状況で背中──お尻を向けることが、徒になるとも知らず。
彼にしてみれば、よさそうなメスなので押し倒してみたら、自らお尻を向けてくれたのだから、やっていいと思ったようだ。早速とばかり、両前脚でしっかりと身体をホールドすると、腰を「つ」の字に曲げて、知世のお尻をつつきまくる。人間は衣服を着ているのだから、そのまま入るわけがないのだが、畜生にそんな事は判らない。ケダモノの本性を匂わせる忙しない息を耳元に聞き、知世の恐怖は頂点に達した。
「いや!いや!いやぁぁぁ!」
何とか逃げようと暴れるが、力の差はいかんともしがたい。
「やめて!やめてぇ!」
さくらも絶叫し、首輪を両手で思い切り引っ張った。小学校も最高学年ともなれば、この犬が、知世に何をしようとしているか位はわかる。どうして犬が人間の女のコに?という疑問と、自分の大事な知世に手を出された事への怒り、それを何とかしなければという焦りが心を複雑に支配した。
「どうしたの?」
騒ぎを聞きつけたクラスメイトは、顔を出すなり絶句した。
牡犬を飼っていれば、何かのスキに女のコの近くに鼻先を押し当てられて匂いをかがれたり、座っている時の脚などに、マウントされるような事は茶飯事だ。けれど、ここまで本格的に人間の女のコに「乗って」しまっているのは見た事がない。あまりに異常な光景に、一瞬、思考が止まってしまった。
だが、すぐに気を取り直し、つかつかと歩み寄ると、いきなり黒く湿った鼻面をぴしゃりと平手で打ち、
「こら!!ダメでしょ!」
だが、彼はまるで「これはボクのだ!」と言わんばかりに牙を剥き、獣性を剥き出しにした唸り声をあげた。腰をカクカクと振って、雄のしるしを知世に押し付ける動作をやめようとはしない。
「やめなさい!!」
たとえ体格的には小さくて軽くとも、流石は飼い主。家庭内での序列は彼女の方が上である。鋭い叱責に加え、もう一発、鼻面に平手打ちを喰らわせると、彼は渋々ながら前脚を放し、知世を解放した。頭を低くし、一応、従順を装っているが、まだ未練があるのか、いつでも飛び掛れそうな体勢は解かない。
さくらが駆け寄り、突っ伏した知世を抱き起こす。
「ごめんね。びっくりしたでしょ? とにかく、濡れちゃったの着替えて? お母さーん」
首輪を引っ張って、彼をなるべく遠ざけながら、知世の着替えを出してもらおうと、彼女は母親を呼ぶ。だが、事態は予想外に深刻だった。
知世の様子は、あきらかにおかしい。
全力で走った後のような荒い呼吸。身体は強張り、まるで極寒の地に居るように、ぶるぶると震え、掻き毟るように両手でブラウスの胸元を掴んでいる。固く瞼を閉じた表情には、堪えきれない苦悶が浮かんでいた。ただ事ではないのは火を見るより明らかだ。
「知世ちゃん?!……知世ちゃん?!」
叫ぶように呼ぶさくらに、クラスメイトも、顔を出した母親も顔色を変えた。
「噛んだの?」
「ううん。噛んではいなかったけど……」
「とにかく、救急車を呼びましょう!」
交わされる半ばパニックのやり取りは、さくらの耳に入っていない。ただ知世の名を呼びつづけ、抱きしめて揺することしかできなかった。
電話から5分ほどで、甲高い電子音を鳴らした救急車が到着し、白いヘルメットを被った隊員がやってきた。外傷のないことを簡単にチェックすると知世はストレッチャーに乗せられ、友枝町で救急指定になっている市民病院へと搬送された。救急車の中で、さくらは涙ぐみながらずっと知世の手を握っていた。
救急処置室の前で待つように言われたときは、不安で、怖くて、たまらない気持ちだった。重そうなドアを見つめる以外、なにもできなかった。
やがて、連絡を受けた園美が駆けつけてきた。クラスメイトも、その母親も、知世の家が有名な玩具メーカーの社長であることは知っているから、緊張が隠せなかった。
さくらも事情を聞かれたものの、彼女自身、突然の出来事で何がなにやら判っておらず、うまく説明することができない。
もどかしい時間が流れたが、やがて救急処置室のドアが開き、白衣の医師が顔をのぞかせた。
何とか逃げようと暴れるが、力の差はいかんともしがたい。
「やめて!やめてぇ!」
さくらも絶叫し、首輪を両手で思い切り引っ張った。小学校も最高学年ともなれば、この犬が、知世に何をしようとしているか位はわかる。どうして犬が人間の女のコに?という疑問と、自分の大事な知世に手を出された事への怒り、それを何とかしなければという焦りが心を複雑に支配した。
「どうしたの?」
騒ぎを聞きつけたクラスメイトは、顔を出すなり絶句した。
牡犬を飼っていれば、何かのスキに女のコの近くに鼻先を押し当てられて匂いをかがれたり、座っている時の脚などに、マウントされるような事は茶飯事だ。けれど、ここまで本格的に人間の女のコに「乗って」しまっているのは見た事がない。あまりに異常な光景に、一瞬、思考が止まってしまった。
だが、すぐに気を取り直し、つかつかと歩み寄ると、いきなり黒く湿った鼻面をぴしゃりと平手で打ち、
「こら!!ダメでしょ!」
だが、彼はまるで「これはボクのだ!」と言わんばかりに牙を剥き、獣性を剥き出しにした唸り声をあげた。腰をカクカクと振って、雄のしるしを知世に押し付ける動作をやめようとはしない。
「やめなさい!!」
たとえ体格的には小さくて軽くとも、流石は飼い主。家庭内での序列は彼女の方が上である。鋭い叱責に加え、もう一発、鼻面に平手打ちを喰らわせると、彼は渋々ながら前脚を放し、知世を解放した。頭を低くし、一応、従順を装っているが、まだ未練があるのか、いつでも飛び掛れそうな体勢は解かない。
さくらが駆け寄り、突っ伏した知世を抱き起こす。
「ごめんね。びっくりしたでしょ? とにかく、濡れちゃったの着替えて? お母さーん」
首輪を引っ張って、彼をなるべく遠ざけながら、知世の着替えを出してもらおうと、彼女は母親を呼ぶ。だが、事態は予想外に深刻だった。
知世の様子は、あきらかにおかしい。
全力で走った後のような荒い呼吸。身体は強張り、まるで極寒の地に居るように、ぶるぶると震え、掻き毟るように両手でブラウスの胸元を掴んでいる。固く瞼を閉じた表情には、堪えきれない苦悶が浮かんでいた。ただ事ではないのは火を見るより明らかだ。
「知世ちゃん?!……知世ちゃん?!」
叫ぶように呼ぶさくらに、クラスメイトも、顔を出した母親も顔色を変えた。
「噛んだの?」
「ううん。噛んではいなかったけど……」
「とにかく、救急車を呼びましょう!」
交わされる半ばパニックのやり取りは、さくらの耳に入っていない。ただ知世の名を呼びつづけ、抱きしめて揺することしかできなかった。
電話から5分ほどで、甲高い電子音を鳴らした救急車が到着し、白いヘルメットを被った隊員がやってきた。外傷のないことを簡単にチェックすると知世はストレッチャーに乗せられ、友枝町で救急指定になっている市民病院へと搬送された。救急車の中で、さくらは涙ぐみながらずっと知世の手を握っていた。
救急処置室の前で待つように言われたときは、不安で、怖くて、たまらない気持ちだった。重そうなドアを見つめる以外、なにもできなかった。
やがて、連絡を受けた園美が駆けつけてきた。クラスメイトも、その母親も、知世の家が有名な玩具メーカーの社長であることは知っているから、緊張が隠せなかった。
さくらも事情を聞かれたものの、彼女自身、突然の出来事で何がなにやら判っておらず、うまく説明することができない。
もどかしい時間が流れたが、やがて救急処置室のドアが開き、白衣の医師が顔をのぞかせた。
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