さくらのぶらじゃぁ初体験 27
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ハンガーに吊るされた紺色の襞スカートはそのままに、白いセーラーを丁寧に外すと、早速袖を通してみる。
最初に右腕、続いて左。頭を被り、髪を通す一連の動作を、さくらはじっと見詰めていた。
「いかがでしょうか?」
知世が訊く。上だけみれば友枝小学校の制服だが、下はスカートを着けていないきわどい格好。
だが、さくらはフルフルと首を横に振った。
見えてしまうのだ。
知世も姿見で確認したが、先ほどの体操着同様、白くて薄めの布地一枚でできている夏の制服は、下に着けているブラジャーのラインを透かしてみせてしまう。
それから二人は下着姿のまま、あぁでもない。こうでもないと、ウォークインクローゼットから様々な洋服を引っ張りだし、上半身に着るものだけを次々に試してみた。
その結果、色の濃い服なら透けて見えない事が確認できた。色が薄いものでも、真冬に着るような布地の厚いものなら大丈夫。たとえば、真冬用の体操着はラインが見える事は無かった。
果ては、さくら用の「特別なコスチューム」もいくつか試す事になった。
さくらは、半分は困った顔をしていたが、これも知世のためと自分を説得し、なにか良いヒントが見つかる事を祈りつつ、いくつかの衣装に袖を通してみた。
結果、胸に飾りのあるようなものなら良いが、対ウォーティー戦の時に着たような密着型ではラインが浮き出る事も判明した。
ハンガーに吊るされた紺色の襞スカートはそのままに、白いセーラーを丁寧に外すと、早速袖を通してみる。
最初に右腕、続いて左。頭を被り、髪を通す一連の動作を、さくらはじっと見詰めていた。
「いかがでしょうか?」
知世が訊く。上だけみれば友枝小学校の制服だが、下はスカートを着けていないきわどい格好。
だが、さくらはフルフルと首を横に振った。
見えてしまうのだ。
知世も姿見で確認したが、先ほどの体操着同様、白くて薄めの布地一枚でできている夏の制服は、下に着けているブラジャーのラインを透かしてみせてしまう。
それから二人は下着姿のまま、あぁでもない。こうでもないと、ウォークインクローゼットから様々な洋服を引っ張りだし、上半身に着るものだけを次々に試してみた。
その結果、色の濃い服なら透けて見えない事が確認できた。色が薄いものでも、真冬に着るような布地の厚いものなら大丈夫。たとえば、真冬用の体操着はラインが見える事は無かった。
果ては、さくら用の「特別なコスチューム」もいくつか試す事になった。
さくらは、半分は困った顔をしていたが、これも知世のためと自分を説得し、なにか良いヒントが見つかる事を祈りつつ、いくつかの衣装に袖を通してみた。
結果、胸に飾りのあるようなものなら良いが、対ウォーティー戦の時に着たような密着型ではラインが浮き出る事も判明した。
「ふう……」
明らかに着けている事がわかってしまう、タイムと闘ったときの妖精のようなコスチュームを脱いださくらは、床に腰を下ろし、ため息をひとつ、漏らした。左右の足首の間でショーツに包まれたお尻が床に降ろされる女のコ独特の座り方。
手を伸ばす知世に脱いだコスチュームを渡す。受け取った知世は、型崩れしないように、丁寧にハンガーに通しはじめた。
さくらは、姿見に写る知世の姿をぼんやりと見ていた。
抜けるような白い肌をほんの二箇所だけ、清潔そうな白い布地で隠した可愛らしい少女の姿。だが、さくらの表情は、決してそれを嬉しがって見ているのではないことが判る。
どうしたらいいんだろう? どうしたら、着替えや体育のとき、ブラジャーしてる事に気づかれないようにしてあげられるんだろう?
脳裏の中で、今、この姿見の前で当てた服を片っ端からあてがい、なんとか解決方法は無いかと、一生懸命に考える。
だが、体操着が白の通気性素材を使った指定服である以上、何をどうしても透けて見えることを防ぐ事はできなさそうだ。
「うーん……」
さくらはもう一度唸った。
知世ちゃんのブラジャーを隠す方法。何かいい方法………
衣装の片付けを終えた知世は、そんなさくらを静かに見下ろしていた。
気配に気づき、さくらが顔を上げて知世を見る。知世はそれに、優しい笑みを返した。だが、この優しい微笑みの力になってあげられない事が、さくらには辛かった。思わず目を逸らし、姿見の方を見る。
「………………ん?」
さくらは、そこに写るものに何かを感じた。なにか「もや」のようなものが思考を過ぎる。違和感のようなもの。求めているものと違うもの。写っていてはいけないもの。けれどとっても大事なものが、この鏡の中には写っている。
さくらは瞬きをすると、身を乗り出して姿見を見つめた。
ブラジャーとショーツだけを身につけた、ふたりの少女。一人は自分。もうひとりは知世。髪の長さ、肌の色は違うが、同じデザインの下着を着けた、そっくりなふたり………
何が違和感なのか、考えた。何が写っていてはいけないのか、必死に考えた。
それは、知世のブラジャーを隠すために必要なのだ。隠すため、他の人には知られないために、どうしても必要なのだ。
そのとき、さくらはハッとした。
そういえば……隠そう、隠そうって思ってたけど、いま、こうして知世ちゃんとわたしで、ブラジャーを見せ合っている……んだよね? わたし達なら見せ合えるのに、どうして他の人には隠すんだろう? なんでだったかな? そうだ。まだ誰も着けてないんだ。もし知世ちゃんひとりだけ着けてたら、恥ずかしい…………ひとりだけ……ひとり?……
「ああッ!!」
突然にさくらがあげた頓狂な声に、知世は思わず身をすくめた。
明らかに着けている事がわかってしまう、タイムと闘ったときの妖精のようなコスチュームを脱いださくらは、床に腰を下ろし、ため息をひとつ、漏らした。左右の足首の間でショーツに包まれたお尻が床に降ろされる女のコ独特の座り方。
手を伸ばす知世に脱いだコスチュームを渡す。受け取った知世は、型崩れしないように、丁寧にハンガーに通しはじめた。
さくらは、姿見に写る知世の姿をぼんやりと見ていた。
抜けるような白い肌をほんの二箇所だけ、清潔そうな白い布地で隠した可愛らしい少女の姿。だが、さくらの表情は、決してそれを嬉しがって見ているのではないことが判る。
どうしたらいいんだろう? どうしたら、着替えや体育のとき、ブラジャーしてる事に気づかれないようにしてあげられるんだろう?
脳裏の中で、今、この姿見の前で当てた服を片っ端からあてがい、なんとか解決方法は無いかと、一生懸命に考える。
だが、体操着が白の通気性素材を使った指定服である以上、何をどうしても透けて見えることを防ぐ事はできなさそうだ。
「うーん……」
さくらはもう一度唸った。
知世ちゃんのブラジャーを隠す方法。何かいい方法………
衣装の片付けを終えた知世は、そんなさくらを静かに見下ろしていた。
気配に気づき、さくらが顔を上げて知世を見る。知世はそれに、優しい笑みを返した。だが、この優しい微笑みの力になってあげられない事が、さくらには辛かった。思わず目を逸らし、姿見の方を見る。
「………………ん?」
さくらは、そこに写るものに何かを感じた。なにか「もや」のようなものが思考を過ぎる。違和感のようなもの。求めているものと違うもの。写っていてはいけないもの。けれどとっても大事なものが、この鏡の中には写っている。
さくらは瞬きをすると、身を乗り出して姿見を見つめた。
ブラジャーとショーツだけを身につけた、ふたりの少女。一人は自分。もうひとりは知世。髪の長さ、肌の色は違うが、同じデザインの下着を着けた、そっくりなふたり………
何が違和感なのか、考えた。何が写っていてはいけないのか、必死に考えた。
それは、知世のブラジャーを隠すために必要なのだ。隠すため、他の人には知られないために、どうしても必要なのだ。
そのとき、さくらはハッとした。
そういえば……隠そう、隠そうって思ってたけど、いま、こうして知世ちゃんとわたしで、ブラジャーを見せ合っている……んだよね? わたし達なら見せ合えるのに、どうして他の人には隠すんだろう? なんでだったかな? そうだ。まだ誰も着けてないんだ。もし知世ちゃんひとりだけ着けてたら、恥ずかしい…………ひとりだけ……ひとり?……
「ああッ!!」
突然にさくらがあげた頓狂な声に、知世は思わず身をすくめた。