さくらのぶらじゃぁ初体験 30
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最初に認識したのは、人が四つん這いになっている姿だった。次に、びっくりした表情でこちらを見ているその顔が、記憶の中のさくらの顔と一致した。更に、腕を前脚のようにして支えられているさくらの身体が、白いショーツ一枚を除いて、何も衣類を身に着けていない事に気づいた。
その白いショーツに包まれたお尻の下、健康そうな肌色の腿の間に、もう一本、別の脚が突き出しているのが網膜に映った。
その脚は、仰向けに横たわった人物のものだった。脚の一本をさくらに跨れ、上に覆い被さられる形になっているその身体もまた、衣類は身に着けていなかった。その証拠に、白い肌の色が見えてしまっていた。
そして、呆然とこちらを見ているその人物の顔は、決して忘れる事のない、愛娘・知世の顔だった。
それら視覚が得た情報が、頭の中で統合される。
つまり、裸で横たわる知世の上に、裸でさくらが覆いかぶさっているのだ。互いに抱き合い、脚を絡めて。
園美の理性は、この視覚情報を何かの間違いだと思おうとした。ありえない事だ。さくらが知世に覆いかぶさっているなんて。
しかも「裸」で。
そんな事があるはずがないと否定したかった。
だが、夢でも幻でもなかった。目の前で、間違いなく、知世の上にさくらが覆い被さっている。
それも「裸」で。
最初に認識したのは、人が四つん這いになっている姿だった。次に、びっくりした表情でこちらを見ているその顔が、記憶の中のさくらの顔と一致した。更に、腕を前脚のようにして支えられているさくらの身体が、白いショーツ一枚を除いて、何も衣類を身に着けていない事に気づいた。
その白いショーツに包まれたお尻の下、健康そうな肌色の腿の間に、もう一本、別の脚が突き出しているのが網膜に映った。
その脚は、仰向けに横たわった人物のものだった。脚の一本をさくらに跨れ、上に覆い被さられる形になっているその身体もまた、衣類は身に着けていなかった。その証拠に、白い肌の色が見えてしまっていた。
そして、呆然とこちらを見ているその人物の顔は、決して忘れる事のない、愛娘・知世の顔だった。
それら視覚が得た情報が、頭の中で統合される。
つまり、裸で横たわる知世の上に、裸でさくらが覆いかぶさっているのだ。互いに抱き合い、脚を絡めて。
園美の理性は、この視覚情報を何かの間違いだと思おうとした。ありえない事だ。さくらが知世に覆いかぶさっているなんて。
しかも「裸」で。
そんな事があるはずがないと否定したかった。
だが、夢でも幻でもなかった。目の前で、間違いなく、知世の上にさくらが覆い被さっている。
それも「裸」で。
『きゃぁああ!!』
叫び声が同時にあがった。
一人は園美。頭を胴から引き抜こうとするかのように、頬からこめかみを両手で鷲掴みにし、目はまん丸に見開かれ、喉から声を絞り出す。
もう一人はさくら。裸を見られた事にパニックを起こしたのか、知世の上から飛びのくと、園美に背中を向け、両手で胸を抱えるようにして、小さく丸まった。
「あ………あ………あなた達ッ!な……な……な……何をやってるのッ!?」
吹き飛びそうになる理性を必死に支え、裏返る声で園美が詰問する。だが、問いを発しながら、園美の頭にはその「答え」がビジュアルとして浮かんでいた。
『知世ちゃん……』
『さくらちゃん……』
裸になり、名を呼び合った二人は、唇を重ねる。舌を絡め、身体を触りあう。ゆっくりとさくらが知世を押し倒し、そして……
そこから先、園美の脳裏に浮かんだ映像は、たとえ「成人指定」をつけても公開できないものだった。
まだあどけない少女二人が繰り広げる同性愛行為の生々しい場面。二人の年齢から考えてありえないと理性が否定するが、性の情報を記憶に蓄積してしまっているオトナであるがため、それらの知識が二人の肢体に置き換えられる。もしも映像を取り出して見せたら、間違いなく手が後ろに回るアブないビジュアルが次々に紡がれて、園美の頭の中をいっぱいに満たしていく。
完全なパニック状態。刺激的な映像の隙間を、「いつからこういう関係だったの?」と気づかないでいた自分を責める思考や、「まだ子供なのに」という否定したい願望。「どこまで進んでいるの? まさか、もうさくらちゃんに?」と、娘の処女を心配する疑問までが駆け回る。
「お母様、落ち着いてください」
身を起こした知世が、静かだがきっぱりと言った。
園美が頭の中に浮かべている事を完全に理解したわけではないが、何かとんでもない誤解をしているのは判る。早急に正さないと、大変なことになってしまう。
知世は両手で自分の着けているブラジャーを指し示し、
「何をしているのかといいますと……これは日曜に買っていただいたブラジャーですが、なかなか着ける決心がつかなかったのです……けれど、さくらちゃんにご相談したら、一緒に着けてみてくださるっておっしゃってくれて………それで、ふたりで試着してみていたのですけれど、そこにお母様が来られたので、さくらちゃん、びっくりして、転んでしまったのですわ」
正確には、さくらは最初は着ける気はなく、知世が誘ったのではあったが、それを説明するのはややこしい。順序は間違っていないし、状況をかいつまんで説明したものとしては、概ねあっている。
だが、園美の感情は、知世の言葉を「嘘」と捉えた。
子供のクセに、ナマイキにもエッチな事なんかして!しかも、よりにもよって、あの可愛いさくらちゃんと! なのに素直に謝るどころか、口先だけで誤魔化そうだなんて!
一瞬、園美の中に生まれた、知世を非難する気持ち。それは、憎悪とさえ言ってよい程だった。
もし、園美が只の母親だったら、感情のままに愛娘にひどい言葉を投げつけていたかもしれない。娘の言う事を信じず、信頼関係は破壊され、正常な母娘関係は二度と修復できなかっただろう。
だが、幸か不幸か、園美は会社社長という一面を持っていた。厳しいビジネス社会で培った「勘」が、感情の主張を否定する。何かが違う、知世は嘘をついていないのでないか? ふたりが「行為」をしていたというのは、誤解ではないか? と告げている。
その事で若干の冷静さを取り戻した園美は、何が引っかかっているのか考えた。
僅かの間、考えて、時間の差に気がついた。
予告無しに、真っ最中のところへ踏み込んだのなら、さくらが知世に覆い被さっている現場を見る事になる。だが、自分はノックをし、声をかけて返事を待った。そこへ叫び声が聞こえたので飛び込んだのだ。
確かに時間は短いが、抱擁を解けない程ではない。ノックと呼びかける声の聞こえる中、「行為」を続ける事は考えにくい。そんなものが聞こえたら、今、さくらがそうしたように飛びのいて、なんとか服を着ようとするだろう。
そう考えると、知世の言っている事に嘘はないだろう。嘘でないなら、感情的にも納得できる。
もっとも、例え愛娘とはいえ、愛しいさくらのブラ姿を自分抜きで見るのはズルイという、嫉妬心のようなものは若干残ったが。
叫び声が同時にあがった。
一人は園美。頭を胴から引き抜こうとするかのように、頬からこめかみを両手で鷲掴みにし、目はまん丸に見開かれ、喉から声を絞り出す。
もう一人はさくら。裸を見られた事にパニックを起こしたのか、知世の上から飛びのくと、園美に背中を向け、両手で胸を抱えるようにして、小さく丸まった。
「あ………あ………あなた達ッ!な……な……な……何をやってるのッ!?」
吹き飛びそうになる理性を必死に支え、裏返る声で園美が詰問する。だが、問いを発しながら、園美の頭にはその「答え」がビジュアルとして浮かんでいた。
『知世ちゃん……』
『さくらちゃん……』
裸になり、名を呼び合った二人は、唇を重ねる。舌を絡め、身体を触りあう。ゆっくりとさくらが知世を押し倒し、そして……
そこから先、園美の脳裏に浮かんだ映像は、たとえ「成人指定」をつけても公開できないものだった。
まだあどけない少女二人が繰り広げる同性愛行為の生々しい場面。二人の年齢から考えてありえないと理性が否定するが、性の情報を記憶に蓄積してしまっているオトナであるがため、それらの知識が二人の肢体に置き換えられる。もしも映像を取り出して見せたら、間違いなく手が後ろに回るアブないビジュアルが次々に紡がれて、園美の頭の中をいっぱいに満たしていく。
完全なパニック状態。刺激的な映像の隙間を、「いつからこういう関係だったの?」と気づかないでいた自分を責める思考や、「まだ子供なのに」という否定したい願望。「どこまで進んでいるの? まさか、もうさくらちゃんに?」と、娘の処女を心配する疑問までが駆け回る。
「お母様、落ち着いてください」
身を起こした知世が、静かだがきっぱりと言った。
園美が頭の中に浮かべている事を完全に理解したわけではないが、何かとんでもない誤解をしているのは判る。早急に正さないと、大変なことになってしまう。
知世は両手で自分の着けているブラジャーを指し示し、
「何をしているのかといいますと……これは日曜に買っていただいたブラジャーですが、なかなか着ける決心がつかなかったのです……けれど、さくらちゃんにご相談したら、一緒に着けてみてくださるっておっしゃってくれて………それで、ふたりで試着してみていたのですけれど、そこにお母様が来られたので、さくらちゃん、びっくりして、転んでしまったのですわ」
正確には、さくらは最初は着ける気はなく、知世が誘ったのではあったが、それを説明するのはややこしい。順序は間違っていないし、状況をかいつまんで説明したものとしては、概ねあっている。
だが、園美の感情は、知世の言葉を「嘘」と捉えた。
子供のクセに、ナマイキにもエッチな事なんかして!しかも、よりにもよって、あの可愛いさくらちゃんと! なのに素直に謝るどころか、口先だけで誤魔化そうだなんて!
一瞬、園美の中に生まれた、知世を非難する気持ち。それは、憎悪とさえ言ってよい程だった。
もし、園美が只の母親だったら、感情のままに愛娘にひどい言葉を投げつけていたかもしれない。娘の言う事を信じず、信頼関係は破壊され、正常な母娘関係は二度と修復できなかっただろう。
だが、幸か不幸か、園美は会社社長という一面を持っていた。厳しいビジネス社会で培った「勘」が、感情の主張を否定する。何かが違う、知世は嘘をついていないのでないか? ふたりが「行為」をしていたというのは、誤解ではないか? と告げている。
その事で若干の冷静さを取り戻した園美は、何が引っかかっているのか考えた。
僅かの間、考えて、時間の差に気がついた。
予告無しに、真っ最中のところへ踏み込んだのなら、さくらが知世に覆い被さっている現場を見る事になる。だが、自分はノックをし、声をかけて返事を待った。そこへ叫び声が聞こえたので飛び込んだのだ。
確かに時間は短いが、抱擁を解けない程ではない。ノックと呼びかける声の聞こえる中、「行為」を続ける事は考えにくい。そんなものが聞こえたら、今、さくらがそうしたように飛びのいて、なんとか服を着ようとするだろう。
そう考えると、知世の言っている事に嘘はないだろう。嘘でないなら、感情的にも納得できる。
もっとも、例え愛娘とはいえ、愛しいさくらのブラ姿を自分抜きで見るのはズルイという、嫉妬心のようなものは若干残ったが。