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さくらのぶらじゃぁ初体験 54

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 翌日──。
「あー、おしかった」
 さくらは満面の笑みを浮かべ、お弁当箱を閉じた。
 美味しそうにお弁当を口に運ぶさくらは、知世にとって見ていて嬉しく、この昼食の時間は至福のひと時である。
「ふふ……おべんとう、ついてますよ?」
 さくらの顔をずっと見ていた知世は、数刻前から唇の左端にご飯粒がひとつ、くっついているのに気づいていたが、当人は気づかないようだ。優しく指摘すると、伸ばした人差し指でそれを擦り取り、自分の唇に運ぶ。小さな一粒だが、それが心に満たすものは大きかった。
「あ、いたいた!」
 至福の時間を破る声。聞こえてきたそれは、千春のものだった。横に奈緒子も居る。
 小走りで駆け寄ってきた奈緒子は、
「もう、お弁当終わった? 終わったんなら、早くぅ」
 と、待ちきれないという様子で、さくらの右腕を取って、立たせようとする。
「あ、ちょっと?……」
「もうみんな待ってるよ? 知世ちゃんも早く、ね?」
 千春の言葉に、さくらと知世は顔を見合わせた。
 忘れてくれていることを祈ったが、どうやら儚い望みだったらしく、昨日の件を皆、覚えていたようである。
 ふたりは揃ってため息をついた。こうなっては諦めるしかなさそうだ。
 手早くお弁当箱や、拡げていたシートを片付けると、さくらは奈緒子に、知世は千春に、逃げないようにという意味か、それぞれ手を引かれて、女子更衣室に連れて行かれた。
「遅いよぉ~」
 4人が更衣室に入ると、ドアのところに控えていたコが扉を閉めて鍵を落とす。
 みれば、クラスの女子が一人残らず中に居た。やや後ろの方で利佳までもが困った顔でこっちを見ている。
 その浮かんでいる表情に、知世はピンと来るものがあった。
 千春と奈緒子が手を離し、周囲を取り囲む輪に加わると、もはやさくらと知世に逃げ道は無かった。背中はロッカー、弧を描いて、わくわくした瞳を浮かべた女子全員がじっとふたりの胸元を見つめている。誰も声を出さないが、それがかえって強く「見せる」事を促していた。
「ほぇぇ……」
 視線の圧力に耐えかね、さくらは思わず自分を抱きしめるように腕で胸を隠したが、それでどうなるものでもない。
「いたしかた……ありませんわね……」
 ため息交じりに言った知世は、ゆっくりと胸元のタイを解きにかかった。
 それを目にしたさくらの表情には、ショックと、絶望の色が濃く浮かぶ。本当なら、知世に何か理由を考えて、このちょっと変わったパーティーを止めて欲しかったのに、先に脱ぎにかかられてしまっては、最後の希望を絶たれたのも同然だからだ。
 もっとも、これだけの人数の期待をうまく逸らす方法は、いくら知世でも思いつかなかっただろう。早々に諦めたのも致し方ないところである。
 タイを解きながら、知世は利佳の方をじっと見つめた。
 こちらを見る側に回っている利佳の表情が、思いつめたようなものになっている。
 自分もブラジャーを買ったのだから、自己申告し、見せる側に回ったほうが良いのではないだろうか? そう思いつつ、事が下着の事なので、恥ずかしくて言い出せずに困っている──その表情には、そうした心の機微が良く現れていた。
「利佳ちゃん? 利佳ちゃんも、昨日買われたあれ、着けて来られました?」
 優しい笑みを浮かべた、知世の一言。やや表現は抽象的だったが、この状況下で「も」と「昨日買われたあれ」と言われて、それが何を指すのかに気づかない者はいない。
 利佳の顔はサッと強張り、一方、その他の女のコは一斉に利佳の方を振り向いた。
「え? なになに?」
「佐々木さんも、ブラ買ったの?」
「どんなの? ねぇ、どんなの?」
 一瞬にして、興味の十字砲火に晒された利佳は、たじたじになって数歩下がる。だが、その背中を一人のコが素早く支え、反対に押し返した。僅かな抵抗も空しく、たちまちのうちに、さくらと知世の隣に押し出されてしまう。
「利佳ちゃん……」
 押されて、僅かによろけた利佳をさくらが支える。
 いきなりヒミツをバラされて、衆人環視に晒された友人の心中を思うと、胸がつぶれそうで、何を言ってあげたら良いのか判らないという表情のさくらに、利佳は、
「いいの、さくらちゃん……言おうか、どうしようか、迷って、困ってたの……知世ちゃんに言って貰って、かえってすっきりしたわ」
 そう言って、笑顔まで見せた。
「利佳ちゃん、さくらちゃん、皆さん、もう、待ちきれないみたいですわよ」
 かけられた声に顔を上げると、知世は上着を脱ぎ終え、紺のハイネック姿になっていた。さらに見回すと、期待の篭った視線が三人にこれでもか、と注がれている。
 利佳も決心したように、胸元のタイを解きにかかった。三人のうち、二人にこうされては、さくらも心を決めるしかない。利佳に続くように、タイを解き、胸元のジッパーを降ろすと、上着を捲り上げた。

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