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さくらのぶらじゃぁ初体験 36

「ありがとう……」
 園美は小さく言うと、さくらの肩を掴んでいた手を離し、上腕をゆっくりと滑りおろさせて、胸を隠すように前で組まれた、手首と肘の間くらいを掴みなおした。
 優しくだが、その手に力を込めて、さくらを自分の方に引き寄せる。
 さくらが素直にそれに従って歩み寄ると、園美は腕を突然に放し、右腕で腰の辺りを抱え、力いっぱい抱き寄せた。
「ほえぇ?!」
 さくらが声を上げたときには、園美のえんじ色のスーツをふっくらと持ち上げている胸に顔が埋まっていた。柔らかく弾む感触が、頬を伝ってあがってくる。
 慌てて顔を引き剥がすように上げるさくら。慣れていない、女性の乳房の感触に、思わす頬が赤くなってしまう。
 園美は左腕にも力を込めていたから、反対側の胸には知世が抱き寄せられていた。こちらは少し過剰なスキンシップに慣れているせいか、顔を上げず、むしろ頬を摺り寄せるようにしている。
「んふふふ~」
 嬉しくてたまらず、抑えきれないという声を上げ、園美が腕の中のふたりに代わる代わる頬擦りをした。
 自分の母とは従姉妹同士にあたる園美は、遠いが血縁関係にある。とはいえ、この頬擦りにさくらは身を硬くして、少しだけ逃げようとするような仕草を見せた。
 だが、隣の知世がされるがままになっている事と、嗅ぎなれない大人の女性の肌の匂い──言い換えれば、「お母さんのにおい」に、やがて弛緩したように力が抜けていく。
 ややしばらく、ふたりの女のコの抱き心地を愉しんだ園美は、少し上体を起こすと、それぞれの肩を掴んで立ち位置を修正した。さくらと知世を横に並べ、さくらの左肩と、知世の右肩を、くっつく程に寄せる。
「はーい。知世、さくらちゃんの肩に手を置いて。さくらちゃんも同じね」
 楽しげにそう指示し、ふたりが、いったい何が始まるんだろう? と恐る恐るそれに従って、緩く肩を組んだような姿勢になると、一瞬の挙措で、その肩を潜るようにして頭を割り込ませた。
「きゃぁ!!」
 ふたりの、ほぼ重なった叫びには構わず、右手はさくらの腰を、左手は知世の腰をしっかりと抱えて逃げられないようにし、ぐいっと一気に割り込んでいく。ラグビーのスクラムを組んでいるような並び方だが、園美の頭だけ位置が低い。そう。ちょうど、さくらと知世のわき腹で顔を挟まれたような格好だ。
「んふふふ………」
 ある意味、究極の至福と言って良いポジションを確保したことに、顔の綻びを抑える事が出来ない。
 ほんの僅か、顔を左へ傾ければ、焦点のあうギリギリの近さ、そして近い故に視界いっぱいに、思春期を迎えて膨らみ始めた、愛しい娘の胸を見ることが出来る。
 次いで、逆にほんの少し右へ傾ければ、半生で最も愛した人の忘れ形見が、やはり成長の階段を一歩登ったように、乳首を中心にうっすらと、胸を盛り上がらせているのを確かめる事ができた。
 我が身が女であり、片方は自分の娘、もう片方も遠縁で、娘の親友という立場であるからこそ、なんとか許されるが、こんなところを他人に見られたら、社会的地位を失いかねない。それでも、二人の娘の乳房を並べて間近に見られるこの位置は魅力的だった。
 そう何度もは無いだろうチャンスを最大限に活かすため、左を向き、また右を見て、左に視線を戻す。
 そうして見比べると、膨らみ方は、知世の方が少しだけ丸みを帯びて、高いようだ。さくらに好意を持っている園美だったが、娘が成長面で抜かれていない事には、微妙な安堵感を持ってしまう。だが、小さくもピンク色に突き出た乳首は、さくらの方が可愛いと思う。
 腰を抱く腕に力を入れ、二人の娘を水平並びからややV字にすると、知世の右、さくらの左の膨らみに交互に頬擦りをする。
「お……お母様ぁ……」
「あ……はうぅ!……」
 乳首のシコリが痛むのは、自分の思春期にも経験済みだから、乳首のところは触れるか触れないか程度にそっと擦り、膨らみ全体は頬を押し付けて優しく捏ねると、くすぐったいような、ムズムズする感覚が湧き上がるのか、ふたりが腕の中で交互に跳ね回る。頬に当たる柔らかさと弾力がたまらない。
 このまま……
 一瞬、そんな考えが頭の中を過ぎった。とても公には出来ない、背徳の行為。
 だが、それを理性で封じ込める。カーテン一枚向こうはデパートの売り場で、バレた時に被る損失の事も引き止める理由ではあったが、愛する者に独りよがりな「想い」をぶつけたくないという気持ちも大きかった。
 けれど、触ってみたいという気持ちを抑える事は難しかった。女同士だし、胸の成長の具合を見るという理由もある。
「ちょっと触らせてね?……」
 興奮で鼻息が荒くなりそうだが、それはおくびにも出さない。
 ふたりの腰を抱えていた腕をそっと上にずらし、右掌でさくらの右の膨らみを、左掌で知世の左の膨らみを包み込んだ。

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