さくらのぶらじゃぁ初体験 32
管理
仕方なしに、胸を隠していた腕を解き、おずおずと差し出されたブラジャーを受け取る。だが、そこでさくらは、そのブラジャーが先ほどと違う事に気付いた。
「知世ちゃん?……これ、さっきのと違うよ?……」
見れば、縁にピンクの可愛らしいラインが入っている。先ほどのは白一色で、こんな縁取りは無かったはずだ。
「これの事ですか?」
知世が言って、ビニールの袋を見せた。いつの間に用意していたのか、透明で丈夫そうな、かなり厚手の袋だ。中には白いブラジャーが入っている。間違いない。先ほどさくらが借りて、つけてみたもの。
「そ、そう。そっち……」
いくらお許しがあったとはいえ、借りるのは一着にとどめたいさくらが手を伸ばす。
だが、知世は、
「これは、ダメですわ」
と、極上の笑みを浮かべ、あっさりと拒絶した。
思わぬ言葉に目を点にして、固まってしまったさくらに、
「だって、これはさくらちゃんが、生まれてはじめてお着けになった、記念すべき最初のブラジャーですもの。このまま、永久に保存させていただきますわ」
と、うっとりと語る知世。その表情には幸せの極みともいえる笑みが浮かんでいる。
仕方なしに、胸を隠していた腕を解き、おずおずと差し出されたブラジャーを受け取る。だが、そこでさくらは、そのブラジャーが先ほどと違う事に気付いた。
「知世ちゃん?……これ、さっきのと違うよ?……」
見れば、縁にピンクの可愛らしいラインが入っている。先ほどのは白一色で、こんな縁取りは無かったはずだ。
「これの事ですか?」
知世が言って、ビニールの袋を見せた。いつの間に用意していたのか、透明で丈夫そうな、かなり厚手の袋だ。中には白いブラジャーが入っている。間違いない。先ほどさくらが借りて、つけてみたもの。
「そ、そう。そっち……」
いくらお許しがあったとはいえ、借りるのは一着にとどめたいさくらが手を伸ばす。
だが、知世は、
「これは、ダメですわ」
と、極上の笑みを浮かべ、あっさりと拒絶した。
思わぬ言葉に目を点にして、固まってしまったさくらに、
「だって、これはさくらちゃんが、生まれてはじめてお着けになった、記念すべき最初のブラジャーですもの。このまま、永久に保存させていただきますわ」
と、うっとりと語る知世。その表情には幸せの極みともいえる笑みが浮かんでいる。
「だ、ダメだよ、そんなの……ちゃんとお洗濯して返すから」
「そんな!お洗濯するなんて、とんでもありませんわ。これは、大切な大切な記念のお品ですもの、空気も逃すわけにはまいりませんわ」
そういって、知世はビニールに入った『さくらのはじめてのブラジャー』を愛しそうに胸に抱く。言葉のとおり、どうやら口は閉じられているらしく、中の空気が抜ける様子はない。本当に空気まで保存するつもりなのだろう。
汗を浮かべ、知世の表情をみていたさくらは、半分以上、説得を諦めた。この状態の知世には何を言っても通じまい。それでも僅かな望みをかけて、さくらは最後の抵抗を試みる。
「……でも……二着も借りるのは……やっぱり悪いから……ね?……」
「そんな事、全然気になさらないでくださいな……もし、どうしてもとおっしゃるのでしたら、さくらちゃんもブラジャーをお買いになるのですし、少ししたら、それをを貸して頂けますか? それで差し引きゼロという事で……」
やっぱり、さくらの説得で知世を翻意させるのは無理なようだ。取り返せないばかりか、買う予定のブラジャーを貸す事にまでなってしまったらしい。
知世にしてみれば、さくらが一度、身に着けたブラジャーを借り、胸にあてる事ができれば、間接ではあるものの、裸の胸と胸をくっつけた事になる。「間接キス」のような嬉しすぎるシチュエーションに、想像するだけで思わず頬が緩んでしまう。
「え? なに?なに? さくらちゃんもブラジャー買うの?」
思わず園美が話に割って入った。
心の中で、『さくらのはじめてのブラジャー』を奪い取って、自分のものにしたいという欲望と、我が子のものを略奪する鬼畜な行為は親としてできないという理性が真っ向からぶつかり、悶々とさくらを抱きしめるだけだった園美だが、耳に飛び込んできた報せに、そのデス・マッチが頭の中から叩き出される。
「あ……はい……まだクラスで誰も着けていなくて……もし、知世ちゃんひとりだけ着けると……その……体育の時とか、恥ずかしかったりすると思って……わたしも……一緒に着けていこうかなぁ……って……」
僅かに振り返るようにして園美を見たさくらが、恐る恐るという様子で答えると、園美は力いっぱいさくらを抱きしめた。
「ああ!もう、なんて優しいのかしら!」
さっきの倍くらいの勢いで、さくらにほお擦りする園美。
ひとり、ブラジャーを着けて登校しては、友人が恥ずかしいだろうから、自分も同じものをつけて、その恥ずかしさを半分引き受けようなんて、その心優しさに涙が出そうだ。
「そういう事なら、今、すぐに買いに行きましょう! さくらちゃんに似合うの、選んであげるわ!」
そう力強く宣言して立ち上がった園美は、有無を言わさずさくらの腕を取り、立ち上がらせた。
「ほ……ほえぇぇぇ!」
「お母様! その格好のさくらちゃんをお外には!?」
思わず知世も叫ぶように言う。その声に、園美もはっとして振り返った。
自分に右腕を掴まれて立ち上がったさくらは、ショーツ一枚しか身につけていない。反対の左手で、知世から受け取った新しいブラジャーを胸にあてがい、なんとか押さえている。確かにこんな格好の女のコを外に連れ出すのは、犯罪以外のなにものでもない。
決断が早いのは良いのだが、こういうところが珠に傷。園美は時々、状況を見ないで走り出してしまう事がある。
「そんな!お洗濯するなんて、とんでもありませんわ。これは、大切な大切な記念のお品ですもの、空気も逃すわけにはまいりませんわ」
そういって、知世はビニールに入った『さくらのはじめてのブラジャー』を愛しそうに胸に抱く。言葉のとおり、どうやら口は閉じられているらしく、中の空気が抜ける様子はない。本当に空気まで保存するつもりなのだろう。
汗を浮かべ、知世の表情をみていたさくらは、半分以上、説得を諦めた。この状態の知世には何を言っても通じまい。それでも僅かな望みをかけて、さくらは最後の抵抗を試みる。
「……でも……二着も借りるのは……やっぱり悪いから……ね?……」
「そんな事、全然気になさらないでくださいな……もし、どうしてもとおっしゃるのでしたら、さくらちゃんもブラジャーをお買いになるのですし、少ししたら、それをを貸して頂けますか? それで差し引きゼロという事で……」
やっぱり、さくらの説得で知世を翻意させるのは無理なようだ。取り返せないばかりか、買う予定のブラジャーを貸す事にまでなってしまったらしい。
知世にしてみれば、さくらが一度、身に着けたブラジャーを借り、胸にあてる事ができれば、間接ではあるものの、裸の胸と胸をくっつけた事になる。「間接キス」のような嬉しすぎるシチュエーションに、想像するだけで思わず頬が緩んでしまう。
「え? なに?なに? さくらちゃんもブラジャー買うの?」
思わず園美が話に割って入った。
心の中で、『さくらのはじめてのブラジャー』を奪い取って、自分のものにしたいという欲望と、我が子のものを略奪する鬼畜な行為は親としてできないという理性が真っ向からぶつかり、悶々とさくらを抱きしめるだけだった園美だが、耳に飛び込んできた報せに、そのデス・マッチが頭の中から叩き出される。
「あ……はい……まだクラスで誰も着けていなくて……もし、知世ちゃんひとりだけ着けると……その……体育の時とか、恥ずかしかったりすると思って……わたしも……一緒に着けていこうかなぁ……って……」
僅かに振り返るようにして園美を見たさくらが、恐る恐るという様子で答えると、園美は力いっぱいさくらを抱きしめた。
「ああ!もう、なんて優しいのかしら!」
さっきの倍くらいの勢いで、さくらにほお擦りする園美。
ひとり、ブラジャーを着けて登校しては、友人が恥ずかしいだろうから、自分も同じものをつけて、その恥ずかしさを半分引き受けようなんて、その心優しさに涙が出そうだ。
「そういう事なら、今、すぐに買いに行きましょう! さくらちゃんに似合うの、選んであげるわ!」
そう力強く宣言して立ち上がった園美は、有無を言わさずさくらの腕を取り、立ち上がらせた。
「ほ……ほえぇぇぇ!」
「お母様! その格好のさくらちゃんをお外には!?」
思わず知世も叫ぶように言う。その声に、園美もはっとして振り返った。
自分に右腕を掴まれて立ち上がったさくらは、ショーツ一枚しか身につけていない。反対の左手で、知世から受け取った新しいブラジャーを胸にあてがい、なんとか押さえている。確かにこんな格好の女のコを外に連れ出すのは、犯罪以外のなにものでもない。
決断が早いのは良いのだが、こういうところが珠に傷。園美は時々、状況を見ないで走り出してしまう事がある。