さくらのぶらじゃぁ初体験 31
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「あ……あぁ……えぇと……そ……そう……そうだったの……や……やぁねぇ……」
ばつの悪いのを隠すように、平静な表情を無理やりに作った園美が言った。
「……なにをしていると、思われたんですか?」
知世が、イノセントな質問をする。
無理も無い。字面では園美の言葉は「何をやっているの」だったが、これが問いかけのニュアンスでない事は誰にでも判る。ふたりのしている事を「悪いこと」と認識したからこそ、ああいう強い言い方になったのだろうから、何が「イケナイコト」なのかを問うておきたいという気持ちが起きるのも当然だ。
自分が何を想像したのかを理解していて、わざと意地の悪い質問をしていると考えられなくもないが、知世の歳ではそれはありえないだろう。園美はなんとかごまかす言葉を探した。
「……え……えぇ……と……ち……違うわよ。私の方が、訊いてるの。だ……だって、ドアを開けたら、ふたりで裸なんですもの。 ど、どうして裸になっているのかって思うじゃない? だから訊いたのよ」
自分が言葉としては質問の文法を使ったことを逆手にとって、あくまで字面どおり、質問をしたのだという事で押し通そうとする。
「……で、でも、ブラジャーの試着じゃ、裸にならないと、しょうがないわね。あぁ、びっくりしたわ」
少々オーバーと言っていい言い回しで、「びっくりしたが、今は状況を理解した」事を強調した。知世は完全にではなさそうだが、一応、納得したような表情をしている。
ホッと胸の中で安堵のため息を漏らした園美は、改めて知世の胸に視線を移した。
「あ……あぁ……えぇと……そ……そう……そうだったの……や……やぁねぇ……」
ばつの悪いのを隠すように、平静な表情を無理やりに作った園美が言った。
「……なにをしていると、思われたんですか?」
知世が、イノセントな質問をする。
無理も無い。字面では園美の言葉は「何をやっているの」だったが、これが問いかけのニュアンスでない事は誰にでも判る。ふたりのしている事を「悪いこと」と認識したからこそ、ああいう強い言い方になったのだろうから、何が「イケナイコト」なのかを問うておきたいという気持ちが起きるのも当然だ。
自分が何を想像したのかを理解していて、わざと意地の悪い質問をしていると考えられなくもないが、知世の歳ではそれはありえないだろう。園美はなんとかごまかす言葉を探した。
「……え……えぇ……と……ち……違うわよ。私の方が、訊いてるの。だ……だって、ドアを開けたら、ふたりで裸なんですもの。 ど、どうして裸になっているのかって思うじゃない? だから訊いたのよ」
自分が言葉としては質問の文法を使ったことを逆手にとって、あくまで字面どおり、質問をしたのだという事で押し通そうとする。
「……で、でも、ブラジャーの試着じゃ、裸にならないと、しょうがないわね。あぁ、びっくりしたわ」
少々オーバーと言っていい言い回しで、「びっくりしたが、今は状況を理解した」事を強調した。知世は完全にではなさそうだが、一応、納得したような表情をしている。
ホッと胸の中で安堵のため息を漏らした園美は、改めて知世の胸に視線を移した。
日曜に買いに行った時は、胸囲を測って、それに合わせたファースト・ブラをいくつか選んだだけで、その場で試着はさせなかった。
もう少し胸が育ち、カップとホックのあるブラジャーを着けるようになったなら、着用方法の指導が必要だろうが、頭から被るだけのファーストブラや、ソフトブラは、何も言わなくても着け方は判るだろうと思ってしまったのだ。
今となってはそれが悔やまれる。はじめての事に不安を持っていただろう娘の心情に気付かなかった自分を恥じた。
見られている事に気付いたのか、知世は心持ち胸を突き出すように姿勢を変えた。我が娘ながら、その愛らしさに園美の頬が思わず緩んでしまい、それを誤魔化すため、手をあてて支える。
「うん、可愛いわよ。知世……」
字面ではそっけないとも言える褒め言葉。だが、その表情と言葉に、たっぷりと情感がこもっている。本心からそう思っている事が伝わる言葉だった。
続いて、園美はさくらに目を移す。叫んで知世の上から飛びのいたさくらは、園美に背中を向け、胸を抱いて可能な限り身体を小さくし、僅かに振り返って不安げな顔を見せている。身につけている布地は、床につけられたお尻を包むショーツと、その両横の足首を包むソックスだけ。両方とも白なので、目に痛いくらい。
「さぁ、さくらちゃんも立って? おかしくないかどうか、みてあげるわ」
心の片隅に、このままさくらに好からぬ事をしてしまいたい欲求が生まれたが、それはおくびにも出さず、あくまでも「女性としての先輩」であり、「親友の母親」として優しく話しかけ、さくらに近づいていく。
だが、さくらにしてみれば、親友の知世はともかく、その母の園美に裸を見られるのは恥ずかしくてたまらない。ますます身体を縮こまらせるばかりだ。
「あら? さくらちゃんもブラジャー着けてみたんじゃないの?」
さくらの背中になんの布地も見えない事に、園美がやっと気付いて、問う。確か知世はふたりで着けてみた、と言っていたはずだ。なぜさくらは着けていないのだろう?
「あ、あの……すみません……園美さんが……せっかく知世ちゃんに買ってあげたものなのに、わたしなんかが借りちゃって……本当にごめんなさい……」
さくらが切れ切れに言う事を、園美は、まるで知らない外国語で話しかけられたように、きょとんとした顔で聞いた。なんで謝られるのかが、まるで理解できない。
「どうしたの? なんで謝るの? 着けてみたんでしょう?」
「は、はい。着けてみました……ごめんなさい……」
また謝っている。状況が判らず、園美は助けを求めるように知世を見た。
「さくらちゃん、さっきもおっしゃってましたわ。お母様が私のためにと買ったものですから、ご自分がそれを借りるのはいけないって……それで、お母様の声が聞こえたときに、慌ててお脱ぎになってしまったんです」
知世の説明で、園美はやっと得心がいった。同時に、胸が痛くなるくらいの感動を覚える。なんと心優しくて可愛い娘なのだろう。こんな事を言われては、抱きしめたい衝動を抑える事ができない。
「さくらちゃんってば、なんて優しいのかしら!」
言いながら、園美はさくらの背後にひざまずき、そっと背中から抱すくめる。
「ほぇぇぇ!?」
口癖にもなっている、驚いたときの叫びも、園美は一向に気にせず、腕の中のさくらのうなじにほお擦りした。
「さくらちゃん……。そんなの、全然気にしなくていいのよ。あなたは、知世の大事なお友達で、私が大好きだった撫子の娘ですもの。そのさくらちゃんに着けてもらえるなんて、嬉しいわ。だから、ね?……もう一回、着けてみせて」
優しく誘うように言われ、さくらは戸惑った表情を浮かべる。許してもらえたのは嬉しいが、もう一回、着けるところを見られるのかと思うと、恥ずかしくてたまらない。
だが、そんなさくらに知世は、
「はい、さくらちゃん」
と、両手でブラジャーを差し出す。二人がかりの攻勢に進退窮まって、さくらは泣きそうな顔で知世を見上げるが、優しい笑みが返ってくるだけだった。
もう少し胸が育ち、カップとホックのあるブラジャーを着けるようになったなら、着用方法の指導が必要だろうが、頭から被るだけのファーストブラや、ソフトブラは、何も言わなくても着け方は判るだろうと思ってしまったのだ。
今となってはそれが悔やまれる。はじめての事に不安を持っていただろう娘の心情に気付かなかった自分を恥じた。
見られている事に気付いたのか、知世は心持ち胸を突き出すように姿勢を変えた。我が娘ながら、その愛らしさに園美の頬が思わず緩んでしまい、それを誤魔化すため、手をあてて支える。
「うん、可愛いわよ。知世……」
字面ではそっけないとも言える褒め言葉。だが、その表情と言葉に、たっぷりと情感がこもっている。本心からそう思っている事が伝わる言葉だった。
続いて、園美はさくらに目を移す。叫んで知世の上から飛びのいたさくらは、園美に背中を向け、胸を抱いて可能な限り身体を小さくし、僅かに振り返って不安げな顔を見せている。身につけている布地は、床につけられたお尻を包むショーツと、その両横の足首を包むソックスだけ。両方とも白なので、目に痛いくらい。
「さぁ、さくらちゃんも立って? おかしくないかどうか、みてあげるわ」
心の片隅に、このままさくらに好からぬ事をしてしまいたい欲求が生まれたが、それはおくびにも出さず、あくまでも「女性としての先輩」であり、「親友の母親」として優しく話しかけ、さくらに近づいていく。
だが、さくらにしてみれば、親友の知世はともかく、その母の園美に裸を見られるのは恥ずかしくてたまらない。ますます身体を縮こまらせるばかりだ。
「あら? さくらちゃんもブラジャー着けてみたんじゃないの?」
さくらの背中になんの布地も見えない事に、園美がやっと気付いて、問う。確か知世はふたりで着けてみた、と言っていたはずだ。なぜさくらは着けていないのだろう?
「あ、あの……すみません……園美さんが……せっかく知世ちゃんに買ってあげたものなのに、わたしなんかが借りちゃって……本当にごめんなさい……」
さくらが切れ切れに言う事を、園美は、まるで知らない外国語で話しかけられたように、きょとんとした顔で聞いた。なんで謝られるのかが、まるで理解できない。
「どうしたの? なんで謝るの? 着けてみたんでしょう?」
「は、はい。着けてみました……ごめんなさい……」
また謝っている。状況が判らず、園美は助けを求めるように知世を見た。
「さくらちゃん、さっきもおっしゃってましたわ。お母様が私のためにと買ったものですから、ご自分がそれを借りるのはいけないって……それで、お母様の声が聞こえたときに、慌ててお脱ぎになってしまったんです」
知世の説明で、園美はやっと得心がいった。同時に、胸が痛くなるくらいの感動を覚える。なんと心優しくて可愛い娘なのだろう。こんな事を言われては、抱きしめたい衝動を抑える事ができない。
「さくらちゃんってば、なんて優しいのかしら!」
言いながら、園美はさくらの背後にひざまずき、そっと背中から抱すくめる。
「ほぇぇぇ!?」
口癖にもなっている、驚いたときの叫びも、園美は一向に気にせず、腕の中のさくらのうなじにほお擦りした。
「さくらちゃん……。そんなの、全然気にしなくていいのよ。あなたは、知世の大事なお友達で、私が大好きだった撫子の娘ですもの。そのさくらちゃんに着けてもらえるなんて、嬉しいわ。だから、ね?……もう一回、着けてみせて」
優しく誘うように言われ、さくらは戸惑った表情を浮かべる。許してもらえたのは嬉しいが、もう一回、着けるところを見られるのかと思うと、恥ずかしくてたまらない。
だが、そんなさくらに知世は、
「はい、さくらちゃん」
と、両手でブラジャーを差し出す。二人がかりの攻勢に進退窮まって、さくらは泣きそうな顔で知世を見上げるが、優しい笑みが返ってくるだけだった。