さくらのぶらじゃぁ初体験 16
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「さくらちゃん……」
「ほえ?」
呼びかけられて手を止めたさくらが、知世の顔を見る。優しい笑みを浮かべた知世は、たっぷりと間をおいてから、そっと囁いた。
「それでしたら……さくらちゃんもつけてみませんか?」
さくらはその言葉の意味するところが、一瞬つかめなかった。
「つけるって……なにを?……」
不思議そうに問い直すさくらに、知世は、
「もちろん、ブラジャーですわ」
といらえを返し、足元にある紙袋に目線を移す。知世の視線を追いかけたさくらは、そこにある物を見た。
「え?……」
もう一度、知世の顔を見、その言葉をもう一度反芻して、やっと意味を掴んだ。
「……え?………ええぇぇ!?」
大仰なくらい、驚いて見せたさくらは、両手をわたわたと振ると、
「だ、だ、ダメだよ!わたし、まだ知世ちゃんみたいにおっぱい膨らんでないし……絶対ダメだよ。早すぎるよ!」
まるで、膨らんでいないのにブラジャーを着用すると、法律に触れるかのような動転ぶりだ。
「さくらちゃん……」
「ほえ?」
呼びかけられて手を止めたさくらが、知世の顔を見る。優しい笑みを浮かべた知世は、たっぷりと間をおいてから、そっと囁いた。
「それでしたら……さくらちゃんもつけてみませんか?」
さくらはその言葉の意味するところが、一瞬つかめなかった。
「つけるって……なにを?……」
不思議そうに問い直すさくらに、知世は、
「もちろん、ブラジャーですわ」
といらえを返し、足元にある紙袋に目線を移す。知世の視線を追いかけたさくらは、そこにある物を見た。
「え?……」
もう一度、知世の顔を見、その言葉をもう一度反芻して、やっと意味を掴んだ。
「……え?………ええぇぇ!?」
大仰なくらい、驚いて見せたさくらは、両手をわたわたと振ると、
「だ、だ、ダメだよ!わたし、まだ知世ちゃんみたいにおっぱい膨らんでないし……絶対ダメだよ。早すぎるよ!」
まるで、膨らんでいないのにブラジャーを着用すると、法律に触れるかのような動転ぶりだ。
「そうですか?……でも、このあいだ、採寸させていただいたとき、すこぉし膨らんでいたと思いますけど?……」
顎のところに右手の人差し指をあて、記憶をたどる知世。二度くらい前の際寸時、水着のデザインのため、半裸の状態で計った時のことを思い出したのだ。
「う、うそ!?」
よっぽど驚いたのか、さくらは反射的に知世の言葉を否定する。だが、知世は優しい笑みを浮かべ、
「本当ですよ」
「だ、だって……わたし……そんなの、ぜんぜん気がつかないし……」
「誰かに見て頂いたり、鏡に写して、よぉくご覧になられた事、ありますか?」
身を乗り出すように否定を重ねようとするさくらに、知世は噛んで含めるように、一つ一つ優しく尋ねる。もちろん、そんな経験のないさくらは、首を横に振った。
「お着替えや、お風呂の時も、膨らんでいるかどうか、確かめて触られた事はないのでしょう?」
今度の問いには、こっくりと頷いて返す。へんな話だが、さくらは今の今まで自分の乳房が膨らむなど、夢にも思っていなかった。着替える時も、入浴時に胸を洗うときも、意識して触った事など、ない。
「それでしたら、私の目の方が確かですわ。さくらちゃんの事ですから、あらゆる所を、しっかり目に焼き付けさせていただいていますもの……」
両手を胸の前で組み、うっとりとした口調で言う知世に、さくらは汗を浮かべ、困ったような笑みを返す。
流石は、爪を切っても判ると豪語するだけのことはある。さくらのことは、さくら以上に判っているのかもしれない。
「で、でも………知世ちゃんの……だし……」
さくらは、なおも躊躇いを見せる。だが、身に着けることそのものを拒んでいないのは、一歩前進だ。知世はさくらの手をそっと取ると、
「大丈夫ですわ。私とさくらちゃんでは、胸囲はほとんど違いませんもの。大人用と違って、初めて用はそれほどサイズが厳密ではないというのが、お店の方のお話でしたから、ちゃんとさくらちゃんにも合いますよ」
「そうじゃなくて……せっかく園美さんが、知世ちゃんにって買ってくれたものだもん。わたしが借りたりしたら、ダメだよ……」
なんと優しい答えだろう。事前に話をしたとはいえ、園美の母としての喜びと、愛情がこもった「初めてのブラジャー」の事を大切に思ってくれている。こうした心優しいところが、さくらの魅力のひとつだ。
知世は、さくらを安心させようと、一つ一つ、丁寧に理由を説明し始めた。
「それでしたら、お気になさらずに……母は、『とりあえずこれで』とも言っていました。それに選ぶのが楽しくて仕方ない様子でしたから、この五着だけでお終いという事はありません。多分、近いうちにまた連れていかれて、もっと別のデザインも買うと言うに違いありませんわ。だから、これは決して特別ではありませんのよ」
「でも……」
「それに、私は嬉しいですわ。私の初めて用に、と買っていただいたブラジャーが、大好きなさくらちゃんが生まれて初めてお付けになるブラジャーになるなんて、幸せすぎてめまいがしそうですわ」
陶酔しきった表情を浮かべる知世を見て、さくらの背筋にぴくんと小さな震えが駆け上がる。この顔をしているときは、何を言っても無駄だ。「特別な衣装」を用意しているとき、それを着たさくらをビデオカメラのファインダーに収めているとき、いずれも見せる知世の至福の表情。こうなったら、もう知世の暴走は止められない。
顎のところに右手の人差し指をあて、記憶をたどる知世。二度くらい前の際寸時、水着のデザインのため、半裸の状態で計った時のことを思い出したのだ。
「う、うそ!?」
よっぽど驚いたのか、さくらは反射的に知世の言葉を否定する。だが、知世は優しい笑みを浮かべ、
「本当ですよ」
「だ、だって……わたし……そんなの、ぜんぜん気がつかないし……」
「誰かに見て頂いたり、鏡に写して、よぉくご覧になられた事、ありますか?」
身を乗り出すように否定を重ねようとするさくらに、知世は噛んで含めるように、一つ一つ優しく尋ねる。もちろん、そんな経験のないさくらは、首を横に振った。
「お着替えや、お風呂の時も、膨らんでいるかどうか、確かめて触られた事はないのでしょう?」
今度の問いには、こっくりと頷いて返す。へんな話だが、さくらは今の今まで自分の乳房が膨らむなど、夢にも思っていなかった。着替える時も、入浴時に胸を洗うときも、意識して触った事など、ない。
「それでしたら、私の目の方が確かですわ。さくらちゃんの事ですから、あらゆる所を、しっかり目に焼き付けさせていただいていますもの……」
両手を胸の前で組み、うっとりとした口調で言う知世に、さくらは汗を浮かべ、困ったような笑みを返す。
流石は、爪を切っても判ると豪語するだけのことはある。さくらのことは、さくら以上に判っているのかもしれない。
「で、でも………知世ちゃんの……だし……」
さくらは、なおも躊躇いを見せる。だが、身に着けることそのものを拒んでいないのは、一歩前進だ。知世はさくらの手をそっと取ると、
「大丈夫ですわ。私とさくらちゃんでは、胸囲はほとんど違いませんもの。大人用と違って、初めて用はそれほどサイズが厳密ではないというのが、お店の方のお話でしたから、ちゃんとさくらちゃんにも合いますよ」
「そうじゃなくて……せっかく園美さんが、知世ちゃんにって買ってくれたものだもん。わたしが借りたりしたら、ダメだよ……」
なんと優しい答えだろう。事前に話をしたとはいえ、園美の母としての喜びと、愛情がこもった「初めてのブラジャー」の事を大切に思ってくれている。こうした心優しいところが、さくらの魅力のひとつだ。
知世は、さくらを安心させようと、一つ一つ、丁寧に理由を説明し始めた。
「それでしたら、お気になさらずに……母は、『とりあえずこれで』とも言っていました。それに選ぶのが楽しくて仕方ない様子でしたから、この五着だけでお終いという事はありません。多分、近いうちにまた連れていかれて、もっと別のデザインも買うと言うに違いありませんわ。だから、これは決して特別ではありませんのよ」
「でも……」
「それに、私は嬉しいですわ。私の初めて用に、と買っていただいたブラジャーが、大好きなさくらちゃんが生まれて初めてお付けになるブラジャーになるなんて、幸せすぎてめまいがしそうですわ」
陶酔しきった表情を浮かべる知世を見て、さくらの背筋にぴくんと小さな震えが駆け上がる。この顔をしているときは、何を言っても無駄だ。「特別な衣装」を用意しているとき、それを着たさくらをビデオカメラのファインダーに収めているとき、いずれも見せる知世の至福の表情。こうなったら、もう知世の暴走は止められない。