さくらのぶらじゃぁ初体験 10
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「ほぇぇ…………」
知世の話を聞き終えたさくらは、癖とも言える声を漏らした。
頬を赤く染め、目が潤んでいる。もちろん、知世は内容を取捨選択して、とても口に出来ない恥ずかしい場面──園美のおっぱいを吸ったとか、秘密のところの洗い方をレクチャーされたとか──は話さなかったが、美しい大人の女性とお風呂で身体を洗いっこしたりしたりする場面は、さくらには刺激が強かったらしい。
もっともさくらの方からも、微に入り細に入り、どんな風だったのかを問いかけていたので、刺激が強かったのはある意味「自業自得」ではある。
「それで、これ買って来たの?」
さくらは、手の中のブラジャーを見つめ、問いかけた。
「はい……お風呂の後、すぐに車で、下着の専門店へ連れて行かれまして……サイズを測られて……それで、はじめてなので、こういうタイプが良いと、お母様が選んでくださったんです……」
「サイズって、裸になって測るの?」
思わずさくらが問い返す。脳裏では裸にされた知世がメジャーで胸囲を測られているところが浮かんだ。年一回の、健康診断の時のイメージだ。
「そ、そんな事ありませんよ!……ちゃ、ちゃんと、ふ、服の上から図りました……」
何をどうすると「ちゃんと」なのか良くわからないが、頬を赤く染め、必死に訂正する知世に、さくらは頭の中のイメージを修正する。
「……でも……今日、火曜日だよ? 園美さんがせっかく選んでくれたのに、どうして着ないの?」
手の中のブラジャーと、知世の顔を交互に見ながら、さくらが、当然といえば当然の疑問を口にした。
誰かが想いを込めてのプレゼントてくれたものを、封すら切らないで放っておくというのは、その人の気持ちを無視する行為だ。心優しい知世がする対応とは思えない。
「ほぇぇ…………」
知世の話を聞き終えたさくらは、癖とも言える声を漏らした。
頬を赤く染め、目が潤んでいる。もちろん、知世は内容を取捨選択して、とても口に出来ない恥ずかしい場面──園美のおっぱいを吸ったとか、秘密のところの洗い方をレクチャーされたとか──は話さなかったが、美しい大人の女性とお風呂で身体を洗いっこしたりしたりする場面は、さくらには刺激が強かったらしい。
もっともさくらの方からも、微に入り細に入り、どんな風だったのかを問いかけていたので、刺激が強かったのはある意味「自業自得」ではある。
「それで、これ買って来たの?」
さくらは、手の中のブラジャーを見つめ、問いかけた。
「はい……お風呂の後、すぐに車で、下着の専門店へ連れて行かれまして……サイズを測られて……それで、はじめてなので、こういうタイプが良いと、お母様が選んでくださったんです……」
「サイズって、裸になって測るの?」
思わずさくらが問い返す。脳裏では裸にされた知世がメジャーで胸囲を測られているところが浮かんだ。年一回の、健康診断の時のイメージだ。
「そ、そんな事ありませんよ!……ちゃ、ちゃんと、ふ、服の上から図りました……」
何をどうすると「ちゃんと」なのか良くわからないが、頬を赤く染め、必死に訂正する知世に、さくらは頭の中のイメージを修正する。
「……でも……今日、火曜日だよ? 園美さんがせっかく選んでくれたのに、どうして着ないの?」
手の中のブラジャーと、知世の顔を交互に見ながら、さくらが、当然といえば当然の疑問を口にした。
誰かが想いを込めてのプレゼントてくれたものを、封すら切らないで放っておくというのは、その人の気持ちを無視する行為だ。心優しい知世がする対応とは思えない。
「それは………その………」
知世は口ごもり、恥ずかしそうに目を伏せた。
さくらはその顔を見つめ、小首を傾げる。まだ「ブラジャー」という物について考えた事の無かったさくらには、知世が恥ずかしがっている理由が、今ひとつピンと来なかったらしい。
「………もし、これを着けて、私の他に誰もつけていなかったら………恥ずかしいです……から……」
蚊の鳴くような小さな声でそう告白し、頬を染める。言われてみて初めて、その気持ちがさくらにも判った。クラスの中で唯一、或いは、クラスで初めて「何か」をする事には勇気が要る。
「あ!……それで今日、体育の時に利佳ちゃんや、みんなの事見てたんだ!」
さくらは、今日の知世の不自然な振る舞いの謎が解け、なるほどという顔をした。ブラジャーという「未知の物」を手にする事になった知世は、まずはクラスメイトの中に既に着けている子がいるかどうかを知りたかったのだろう。それで、体育のある今日まで待っていたのだ。
「でも………誰か居た?」
さくらは、更衣室での着替えを全員分見たわけではないが、これまでの体育などの着替えの時を思い出す限り、「ブラジャー」を身に着けている子は居なかったと思う。クラスで一番大人っぽいといえば、文句なしに佐々木利佳だが、彼女も確か着ていたのは女児用のタンクトップで、ブラジャーはしていなかった。
知世もふるふると首を横に振る。着替えの時間、あれだけ周囲を観察して、着けている子が見つからないということは、まだクラスでは誰もしていない可能性が非常に高い。
と、すると、これを着けて学校へ行けば、クラスで初めてのブラジャーである可能性も非常に高くなる。
知世が「クラスで一番胸が大きい」と誰も疑う余地が無いなら、ブラジャーを着ける事に躊躇は感じないだろう。だが、更衣室で見る限り、胸の膨らみ加減は利佳の方が大きいようにも思えるし、柳沢奈緒子や三原千春だって膨らんでいた気がする。
もし、その中に、知世が「胸が膨らんだ証」の下着を着て行ったら、どうなるだろう?
胸が膨らんでいる子にしてみれば、自分より小さい知世が着けてくれば「生意気」と思うかもしれないし、逆に、胸が膨らんで無い子には、羨望の気持ちが起こるかもしれない。皆の性格を考えれば、そういう事は考え難いが、もしも、クラスの中に変な波紋を起す事になったら困る。
「………そう………なんだ………ごめんなさい……」
さくらは小さな声で詫びると、手の中のブラジャーに目を落とした。さっき、「どうして着けないの?」 と不用意な事を言ってしまった事が悔やまれる。
知世は、そんなさくらに優しく微笑んだ。すべてを許す知世の笑みに、救われた気持ちがした。
知世は口ごもり、恥ずかしそうに目を伏せた。
さくらはその顔を見つめ、小首を傾げる。まだ「ブラジャー」という物について考えた事の無かったさくらには、知世が恥ずかしがっている理由が、今ひとつピンと来なかったらしい。
「………もし、これを着けて、私の他に誰もつけていなかったら………恥ずかしいです……から……」
蚊の鳴くような小さな声でそう告白し、頬を染める。言われてみて初めて、その気持ちがさくらにも判った。クラスの中で唯一、或いは、クラスで初めて「何か」をする事には勇気が要る。
「あ!……それで今日、体育の時に利佳ちゃんや、みんなの事見てたんだ!」
さくらは、今日の知世の不自然な振る舞いの謎が解け、なるほどという顔をした。ブラジャーという「未知の物」を手にする事になった知世は、まずはクラスメイトの中に既に着けている子がいるかどうかを知りたかったのだろう。それで、体育のある今日まで待っていたのだ。
「でも………誰か居た?」
さくらは、更衣室での着替えを全員分見たわけではないが、これまでの体育などの着替えの時を思い出す限り、「ブラジャー」を身に着けている子は居なかったと思う。クラスで一番大人っぽいといえば、文句なしに佐々木利佳だが、彼女も確か着ていたのは女児用のタンクトップで、ブラジャーはしていなかった。
知世もふるふると首を横に振る。着替えの時間、あれだけ周囲を観察して、着けている子が見つからないということは、まだクラスでは誰もしていない可能性が非常に高い。
と、すると、これを着けて学校へ行けば、クラスで初めてのブラジャーである可能性も非常に高くなる。
知世が「クラスで一番胸が大きい」と誰も疑う余地が無いなら、ブラジャーを着ける事に躊躇は感じないだろう。だが、更衣室で見る限り、胸の膨らみ加減は利佳の方が大きいようにも思えるし、柳沢奈緒子や三原千春だって膨らんでいた気がする。
もし、その中に、知世が「胸が膨らんだ証」の下着を着て行ったら、どうなるだろう?
胸が膨らんでいる子にしてみれば、自分より小さい知世が着けてくれば「生意気」と思うかもしれないし、逆に、胸が膨らんで無い子には、羨望の気持ちが起こるかもしれない。皆の性格を考えれば、そういう事は考え難いが、もしも、クラスの中に変な波紋を起す事になったら困る。
「………そう………なんだ………ごめんなさい……」
さくらは小さな声で詫びると、手の中のブラジャーに目を落とした。さっき、「どうして着けないの?」 と不用意な事を言ってしまった事が悔やまれる。
知世は、そんなさくらに優しく微笑んだ。すべてを許す知世の笑みに、救われた気持ちがした。