今日はいちゃいちゃの日なの 19
「うふふ……」
目を細め、堪えきれないという様子で含み笑いをもらすなのは。遠距離砲撃を得意とする自己の特徴らしからぬ素早さでフェイトの背中に回ると、両肩をぐいぐいと押して、前に歩かせる。
「な……なに?……」
いぶかしみながらも、後ろから押され、肩に添えられた手で方向を変えられるままに歩くと、着いたところは浴室の前だった。
「お風呂?……」
「一緒に入ろ、フェイトちゃん」
肩越しに、いたずらっぽく笑った顔を突き出し、なのはがフェイトを優しく抱きしめる。
目を細め、堪えきれないという様子で含み笑いをもらすなのは。遠距離砲撃を得意とする自己の特徴らしからぬ素早さでフェイトの背中に回ると、両肩をぐいぐいと押して、前に歩かせる。
「な……なに?……」
いぶかしみながらも、後ろから押され、肩に添えられた手で方向を変えられるままに歩くと、着いたところは浴室の前だった。
「お風呂?……」
「一緒に入ろ、フェイトちゃん」
肩越しに、いたずらっぽく笑った顔を突き出し、なのはがフェイトを優しく抱きしめる。
もちろん、フェイトとしても、なのはと一緒に入浴する事に対して、ちょっぴりの恥ずかしさ以外、何か異存があるわけではない。
しかし、順番が逆だろうという思いはあった。
食後、すぐの入浴は、血流が皮膚に回ってしまうため、胃や腸の動きが鈍くなり、特に消化によくない。1時間近く時間は置いているから良いとしても、どうせなら食事の前に入れば良かったのにと、僅かながら思う。
気を取り直し、自分を緩く抱いているために手のふさがっているなのはに代わって、折れ戸になっている浴室ドアを押し開けたフェイトは、中を見て完全に固まった。
温かそうな湯気が揺らめく、割と大きめの浴槽の手前。本来なら身体を洗うための場所が、何かに完全に占拠されている。
ピンク色のその物体は、楽に人の背丈ほどの長さがあり、幅も寄り添えば、どうにか二人が横になれるサイズ。
縦に何本もスジが刻まれたブロック構造をしていて、上下には横向きのブロックが付けられたカタチ。それが空気を中にいれられ、パンパンに膨らんでいた。
「なッ……」
思わず振り返ろうとするフェイト。
この浴室に横たわる物体が『ソープマット』と呼ばれるもので、どういう目的に使うのか、彼女は知っている。いや、実際に使用する目的とはちょっとだけ違うのだが、それはこの際関係がない。
抵抗する暇を与えないようにという事か、なのはが身体ごとぶつかるようにフェイトを押した。たまらず、前に出たフェイトは、不安定なマットの上に右足を乗せてしまった。
中が空気で満たされたマットの上ではバランスが取れない。たまらずフェイトは尻もちをついてしまった。中の空気層が受け止めてくれたからよかったが、これがいつものタイルの床なら、お尻をしたたかに打って、痛みで立てなくなってしまうだろう。
そんなフェイトを見下ろしながら、なのはがマットに乗りあがってくる。
バランスをとるためか、姿勢を低く保ち、膝立ちになると、手も前について、四足獣のようにフェイトににじり寄る。反対に尻もちをついたまま、後ろ手に身体を支えているフェイト。ふたりを対比すると、フェイトに迫るなのはの図そのままだ。
「な、なのはぁ……」
微かに抗議してみたものの、抵抗は全くの無意味だった。
「うふふ……」
すべてを蕩かすような笑みをうかべたなのはは、利き手の左手を伸ばしてボトルを取る。
あ、あんなものまで!……
フェイトは、それを見て愕然とした。
透明なボトルの中は、やはり無色透明の液体。振る動作と合わない、ねっとりとした動きが、液体の粘度の高さを示している。
それにしても、食事の後、部屋へ戻るまでの僅か数分で、電動式自動ポンプとはいえ、ソープマットを用意し、おまけにローションまで隠してあったとは………
ここまでハメられると、もはや言葉も出てこない。
「フェイトちゃん……」
しっとりとした声で、なのはがフェイトの名を呟き、その肩に手をかけた。そのまま体重をかけ、マットの上に彼女を押し倒す。左手だけで器用にボトルのキャップを開け、組み敷いたフェイトの胸の上で傾けようとした。
「……い……いや……」
フェイトが身をよじり、抵抗する。なのはの手を掴み、ボトルを傾けるのを阻止しようとした。
なのはは、暫し考える。抵抗して見せているだけで、本心はOKなのか、それとも本気でイヤなのか、そのどちらとも取れる行動だった。
なのはのポジションが男だったら、少々の抵抗もかえって興奮を高める要素になるのだろうが、あいにく女同士である。予想外の対応に戸惑いつつも、なのははフェイトの真意を確かめる事にした。
しかし、順番が逆だろうという思いはあった。
食後、すぐの入浴は、血流が皮膚に回ってしまうため、胃や腸の動きが鈍くなり、特に消化によくない。1時間近く時間は置いているから良いとしても、どうせなら食事の前に入れば良かったのにと、僅かながら思う。
気を取り直し、自分を緩く抱いているために手のふさがっているなのはに代わって、折れ戸になっている浴室ドアを押し開けたフェイトは、中を見て完全に固まった。
温かそうな湯気が揺らめく、割と大きめの浴槽の手前。本来なら身体を洗うための場所が、何かに完全に占拠されている。
ピンク色のその物体は、楽に人の背丈ほどの長さがあり、幅も寄り添えば、どうにか二人が横になれるサイズ。
縦に何本もスジが刻まれたブロック構造をしていて、上下には横向きのブロックが付けられたカタチ。それが空気を中にいれられ、パンパンに膨らんでいた。
「なッ……」
思わず振り返ろうとするフェイト。
この浴室に横たわる物体が『ソープマット』と呼ばれるもので、どういう目的に使うのか、彼女は知っている。いや、実際に使用する目的とはちょっとだけ違うのだが、それはこの際関係がない。
抵抗する暇を与えないようにという事か、なのはが身体ごとぶつかるようにフェイトを押した。たまらず、前に出たフェイトは、不安定なマットの上に右足を乗せてしまった。
中が空気で満たされたマットの上ではバランスが取れない。たまらずフェイトは尻もちをついてしまった。中の空気層が受け止めてくれたからよかったが、これがいつものタイルの床なら、お尻をしたたかに打って、痛みで立てなくなってしまうだろう。
そんなフェイトを見下ろしながら、なのはがマットに乗りあがってくる。
バランスをとるためか、姿勢を低く保ち、膝立ちになると、手も前について、四足獣のようにフェイトににじり寄る。反対に尻もちをついたまま、後ろ手に身体を支えているフェイト。ふたりを対比すると、フェイトに迫るなのはの図そのままだ。
「な、なのはぁ……」
微かに抗議してみたものの、抵抗は全くの無意味だった。
「うふふ……」
すべてを蕩かすような笑みをうかべたなのはは、利き手の左手を伸ばしてボトルを取る。
あ、あんなものまで!……
フェイトは、それを見て愕然とした。
透明なボトルの中は、やはり無色透明の液体。振る動作と合わない、ねっとりとした動きが、液体の粘度の高さを示している。
それにしても、食事の後、部屋へ戻るまでの僅か数分で、電動式自動ポンプとはいえ、ソープマットを用意し、おまけにローションまで隠してあったとは………
ここまでハメられると、もはや言葉も出てこない。
「フェイトちゃん……」
しっとりとした声で、なのはがフェイトの名を呟き、その肩に手をかけた。そのまま体重をかけ、マットの上に彼女を押し倒す。左手だけで器用にボトルのキャップを開け、組み敷いたフェイトの胸の上で傾けようとした。
「……い……いや……」
フェイトが身をよじり、抵抗する。なのはの手を掴み、ボトルを傾けるのを阻止しようとした。
なのはは、暫し考える。抵抗して見せているだけで、本心はOKなのか、それとも本気でイヤなのか、そのどちらとも取れる行動だった。
なのはのポジションが男だったら、少々の抵抗もかえって興奮を高める要素になるのだろうが、あいにく女同士である。予想外の対応に戸惑いつつも、なのははフェイトの真意を確かめる事にした。