今日はいちゃいちゃの日なの 18
うわ……うわ……うわぁ……
フェイトの胸がかあッと熱くなる。
意味もなく叫びたい、その辺をゴロゴロと転げまわりたいという、よくわからない衝動に駆られた。じっとしているのが耐えられないくらいに辛い。
か細い理性の糸でなんとかそれを堪えて、どうにか平静を保ったフェイトの前に、ふたたび差し出されるスプーン。
「はい、あーん」
なんとも嬉しそうななのはの表情がたまらない。
胸のドキドキを聞かれるのではないかと気をもみつつも、出来るだけ大きく口を開いてなのはのスプーンを迎え入れる。
フェイトの胸がかあッと熱くなる。
意味もなく叫びたい、その辺をゴロゴロと転げまわりたいという、よくわからない衝動に駆られた。じっとしているのが耐えられないくらいに辛い。
か細い理性の糸でなんとかそれを堪えて、どうにか平静を保ったフェイトの前に、ふたたび差し出されるスプーン。
「はい、あーん」
なんとも嬉しそうななのはの表情がたまらない。
胸のドキドキを聞かれるのではないかと気をもみつつも、出来るだけ大きく口を開いてなのはのスプーンを迎え入れる。
なのはに全てを委ねているのが、幸せで、嬉しい。
口中の幸福をゆっくり飲み込んでから、自分もスプーンを差し出す。
無防備に口を開けているなのはの顔が、愛しくてたまらない。
その中にモノを差し入れるというのが、ドキドキするような興奮を覚えるのはなぜだろう。ぱくっと閉じられたなのはの口唇に包まれているスプーンに対し、何故か軽い嫉妬をおぼえつつ、それをそっと引き抜く。
もぐもぐと動くなのはの唇を見つめるフェイトは、半分くらい魂が何処かに飛んでいってしまったかのような蕩けた表情をしていた。
そんなフェイトの表情を目を細めて見ていたなのはは、頃合をみて、もう一度スプーンを差し出す。
あまりの幸福感に、脳の「恥ずかしさ」を司る部分が機能不全を起こしたのか、フェイトはまるで幼児のそれのごとく、ただ誘われるままに口を開いてなのはのスプーンを受け入れた。
幸せをたっぷりと噛みしめて飲み込んでから、なのはにスプーンを差し出す。
食べさせる、食べさせてもらうという、甘い時間をたっぷりと味わう素敵な夕食タイム。どんな豪勢な料理の並ぶテーブルよりも、今日のカレーは感動が深いだろう。
ひとさじ、ひとさじ、交互に減っていくカレーは、自分で食べるよりは、長く幸せな時間を提供してくれたが、それでも皿の中身には限界というものがある。
ほぼ同量だったためもあるだろうが、最後にフェイトがなのはに食べさせ、お互いの皿の中は空になった。
「ごちそうさまでした」
ふたりで手を合わせて言い、なぜだか可笑しくて笑ってしまった。
皿だけなので、片付けを簡単に済ませて、ミネラルウォーターをコップに一杯づつ飲んだ。
それから、部屋に戻る。だが、ふたり一緒ではなく、フェイト一人。ベッドの前に座って、なのはを待つ。
なのはは2分ほど遅れて戻ってきた。
フェイトは理由を気にはしなかった。きっと手洗いか何かだと思った。それに、ゆっくりと近づいて来る、なのはの柔らかそうな肢体を見ていると、頬が緩んでしまって、細かいことが考えられないのも、疑わなかった理由の一つだ。
フェイトに身体を摺り寄せるように隣に座ったなのはは、魔力スクリーンを展開すると、リモコンで再生を指示する。
今度のDVDはニュースだった。
これも、アリサとすずかの配慮なのだろう。戻って来たとき、大きなニュースを全く知らないとなれば、「ヒキコモリ」という廃人生活をしているのではないか? と疑われかねない。
何日ものニュースから主要なものをセレクトしたためか、アナウンサーの顔が頻繁に入れ替わる。けれど、おおよその社会情勢を掴むには、充分だろう。第97管理外世界は平和で事もなし──という訳ではないようで、事件や事故、災害がけっこうあり、被害や被災を受けた人の事を思うと少し気鬱にもなる。
だが、自分達が居ればどうにかできたとも思わない。いくらオーバーSクラスの魔導士とはいえ、神様ではないのだ。そこまで自信過剰にはなれない。
スポーツ関連のニュースや、心温まる出来事もあって、一時間弱ほども見ただろうか。
空耳かと誤解するくらい、小さくて断続的な電子音が聞こえた。
「なに?」
音の正体を問うフェイトに応えず、なのははゆっくりと立ち上がった。
そして、フェイトに向かって手を差し出す。意味は良く判らないながら、どうやら立てという事だと理解したフェイトは、その手を取って立ち上がった。
口中の幸福をゆっくり飲み込んでから、自分もスプーンを差し出す。
無防備に口を開けているなのはの顔が、愛しくてたまらない。
その中にモノを差し入れるというのが、ドキドキするような興奮を覚えるのはなぜだろう。ぱくっと閉じられたなのはの口唇に包まれているスプーンに対し、何故か軽い嫉妬をおぼえつつ、それをそっと引き抜く。
もぐもぐと動くなのはの唇を見つめるフェイトは、半分くらい魂が何処かに飛んでいってしまったかのような蕩けた表情をしていた。
そんなフェイトの表情を目を細めて見ていたなのはは、頃合をみて、もう一度スプーンを差し出す。
あまりの幸福感に、脳の「恥ずかしさ」を司る部分が機能不全を起こしたのか、フェイトはまるで幼児のそれのごとく、ただ誘われるままに口を開いてなのはのスプーンを受け入れた。
幸せをたっぷりと噛みしめて飲み込んでから、なのはにスプーンを差し出す。
食べさせる、食べさせてもらうという、甘い時間をたっぷりと味わう素敵な夕食タイム。どんな豪勢な料理の並ぶテーブルよりも、今日のカレーは感動が深いだろう。
ひとさじ、ひとさじ、交互に減っていくカレーは、自分で食べるよりは、長く幸せな時間を提供してくれたが、それでも皿の中身には限界というものがある。
ほぼ同量だったためもあるだろうが、最後にフェイトがなのはに食べさせ、お互いの皿の中は空になった。
「ごちそうさまでした」
ふたりで手を合わせて言い、なぜだか可笑しくて笑ってしまった。
皿だけなので、片付けを簡単に済ませて、ミネラルウォーターをコップに一杯づつ飲んだ。
それから、部屋に戻る。だが、ふたり一緒ではなく、フェイト一人。ベッドの前に座って、なのはを待つ。
なのはは2分ほど遅れて戻ってきた。
フェイトは理由を気にはしなかった。きっと手洗いか何かだと思った。それに、ゆっくりと近づいて来る、なのはの柔らかそうな肢体を見ていると、頬が緩んでしまって、細かいことが考えられないのも、疑わなかった理由の一つだ。
フェイトに身体を摺り寄せるように隣に座ったなのはは、魔力スクリーンを展開すると、リモコンで再生を指示する。
今度のDVDはニュースだった。
これも、アリサとすずかの配慮なのだろう。戻って来たとき、大きなニュースを全く知らないとなれば、「ヒキコモリ」という廃人生活をしているのではないか? と疑われかねない。
何日ものニュースから主要なものをセレクトしたためか、アナウンサーの顔が頻繁に入れ替わる。けれど、おおよその社会情勢を掴むには、充分だろう。第97管理外世界は平和で事もなし──という訳ではないようで、事件や事故、災害がけっこうあり、被害や被災を受けた人の事を思うと少し気鬱にもなる。
だが、自分達が居ればどうにかできたとも思わない。いくらオーバーSクラスの魔導士とはいえ、神様ではないのだ。そこまで自信過剰にはなれない。
スポーツ関連のニュースや、心温まる出来事もあって、一時間弱ほども見ただろうか。
空耳かと誤解するくらい、小さくて断続的な電子音が聞こえた。
「なに?」
音の正体を問うフェイトに応えず、なのははゆっくりと立ち上がった。
そして、フェイトに向かって手を差し出す。意味は良く判らないながら、どうやら立てという事だと理解したフェイトは、その手を取って立ち上がった。