なにが出るかな? 5
「と……いうわけで……誤解なんだよ……あれは晴宏に無理矢理……」
帰り道での説明をもう一度繰り返して、睦月はゆんなに理解を求めた。
だが、ゆんなは、
「そんなのウソアル!」
と、プイっと横を向いて完全無視。某マルクス主義の野党に、政権与党が法案成立の協力を要請したときのように、取り付く島すらない。
「ホントだよ……ボクはあんなのに……」
「あ~んなにえっちな顔で、真剣に見てたクセに、ウソついてもムダアル」
ゆんなは横目で睦月を睨み、言う。ゆんなのヴィジョンでは、晴宏と奪い合い、鼻息を荒くしてグラビアを見つめていた場面が映っていた。
帰り道での説明をもう一度繰り返して、睦月はゆんなに理解を求めた。
だが、ゆんなは、
「そんなのウソアル!」
と、プイっと横を向いて完全無視。某マルクス主義の野党に、政権与党が法案成立の協力を要請したときのように、取り付く島すらない。
「ホントだよ……ボクはあんなのに……」
「あ~んなにえっちな顔で、真剣に見てたクセに、ウソついてもムダアル」
ゆんなは横目で睦月を睨み、言う。ゆんなのヴィジョンでは、晴宏と奪い合い、鼻息を荒くしてグラビアを見つめていた場面が映っていた。
まぁ、これはゆんなの身体的特徴が大きい。ほぼ常に上を見上げて生活しているゆんなは、睦月がヘッドロックをかまされている部分が、グラビア誌の影に隠れてしまって見えなかった。更に言うと、人間の記憶というのはけっこういい加減な所があり、見えなかった部分を他の経験から補正して、しかも補正した事は忘れてしまう。
その原理で、グラビアの影で殆ど見えなかった睦月の表情も、いろいろな場面でえっちな事を考えているときのだらしなく緩んだ顔を勝手に継ぎ接ぎして、その顔で写真を見ていた記憶として、造りだしてしまっていた。
だが、自分の意思でグラビアを見たわけでもないのに、こんな嫌疑をかけらたのでは、睦月としてはたまったものではない。
「そんな事してないよ……あれはボクのじゃないし、ボクから見せろとも言ってないんだよ。晴宏に無理矢理見せられたんだよ。信じてよ」
必死に訴えかけるが、ゆんなは聴く耳を持たない。
「信じられる訳が無いアル! あんなにおっきくしといて、弁解無用アルよ!」
これはゆんなに分がある。思わずグラビアで隠したが、そのときにはスラックスの中で、こわばりを勃起させているのを見られてしまった後なのだ。
「あ……あれは……その……」
「あの本見て、こーふんしたアルよね? だからおっきくしたアルでしょ?」
言い淀む睦月に、ゆんなが畳み掛けた。
「ち……違うよ……」
「じゃぁ、なんでおっきくしたアルか?」
ゆんなは、厳しく核心を突く。これを言われては、睦月には答えようが無かろうという思惑も、少しだけあった。
「そ……それは……その……」
困り果てた睦月だったが、ストレートに核心を言われた事で、白状するつもりになったのか、蚊の泣くような声で、
「お……思い出しちゃったから……」
「思い出したって、何をアルか?」
「その……お……」
俯いた睦月は、口の中で何かを言っているのだが、ゆんなにはそれが聞き取れない。
「え? なにアルか?」
耳に手を当て、さらに問い詰めるゆんな。それに吹っ切れたのか、目をつぶって睦月は言い放った。
「ゆんゆんのおっぱいを思い出しちゃったから……」
耳まで真っ赤に染めて、俯く睦月に、言葉の意味を掴み損ねたゆんなが、それを問う。
「それ、どういう事アルか?」
「だ……だからその……あの写真みて……晴宏に『柔らかいぞ』って言われて、つい、ゆんゆんのを思い出しちゃって、それで……」
上目がちの睦月の目が、自分の胸を見ている気がして、ゆんなは自分を抱くように胸を隠した。
「そんなの信じられないアル」
「本当だよ。だって、紙の見るだけより、実際の触ったほうが……」
睦月の告白に、ゆんなは少しだけホッとした気持ちを抱いた。うまく表現できないが、あのグラビアに「勝った」という気がする。
だが、ここで気を緩めてはいけない。もしかしたら、睦月の言い訳かもしれないのだ。顔を引き締めたゆんなは、
「し……信用できないアル」
「だいたい、ボクのなら、この部屋にあるはずでしょ?」
「この辺に隠したんじゃないアルか?」
言いながら、右の踵をトントンとベッドにぶつける。ベッドの下にエッチな本というのは、男のコの部屋の定番だ。
その原理で、グラビアの影で殆ど見えなかった睦月の表情も、いろいろな場面でえっちな事を考えているときのだらしなく緩んだ顔を勝手に継ぎ接ぎして、その顔で写真を見ていた記憶として、造りだしてしまっていた。
だが、自分の意思でグラビアを見たわけでもないのに、こんな嫌疑をかけらたのでは、睦月としてはたまったものではない。
「そんな事してないよ……あれはボクのじゃないし、ボクから見せろとも言ってないんだよ。晴宏に無理矢理見せられたんだよ。信じてよ」
必死に訴えかけるが、ゆんなは聴く耳を持たない。
「信じられる訳が無いアル! あんなにおっきくしといて、弁解無用アルよ!」
これはゆんなに分がある。思わずグラビアで隠したが、そのときにはスラックスの中で、こわばりを勃起させているのを見られてしまった後なのだ。
「あ……あれは……その……」
「あの本見て、こーふんしたアルよね? だからおっきくしたアルでしょ?」
言い淀む睦月に、ゆんなが畳み掛けた。
「ち……違うよ……」
「じゃぁ、なんでおっきくしたアルか?」
ゆんなは、厳しく核心を突く。これを言われては、睦月には答えようが無かろうという思惑も、少しだけあった。
「そ……それは……その……」
困り果てた睦月だったが、ストレートに核心を言われた事で、白状するつもりになったのか、蚊の泣くような声で、
「お……思い出しちゃったから……」
「思い出したって、何をアルか?」
「その……お……」
俯いた睦月は、口の中で何かを言っているのだが、ゆんなにはそれが聞き取れない。
「え? なにアルか?」
耳に手を当て、さらに問い詰めるゆんな。それに吹っ切れたのか、目をつぶって睦月は言い放った。
「ゆんゆんのおっぱいを思い出しちゃったから……」
耳まで真っ赤に染めて、俯く睦月に、言葉の意味を掴み損ねたゆんなが、それを問う。
「それ、どういう事アルか?」
「だ……だからその……あの写真みて……晴宏に『柔らかいぞ』って言われて、つい、ゆんゆんのを思い出しちゃって、それで……」
上目がちの睦月の目が、自分の胸を見ている気がして、ゆんなは自分を抱くように胸を隠した。
「そんなの信じられないアル」
「本当だよ。だって、紙の見るだけより、実際の触ったほうが……」
睦月の告白に、ゆんなは少しだけホッとした気持ちを抱いた。うまく表現できないが、あのグラビアに「勝った」という気がする。
だが、ここで気を緩めてはいけない。もしかしたら、睦月の言い訳かもしれないのだ。顔を引き締めたゆんなは、
「し……信用できないアル」
「だいたい、ボクのなら、この部屋にあるはずでしょ?」
「この辺に隠したんじゃないアルか?」
言いながら、右の踵をトントンとベッドにぶつける。ベッドの下にエッチな本というのは、男のコの部屋の定番だ。