今日はいちゃいちゃの日なの 7
「う~ん、いい抱き心地。すべすべで……柔らかくって……」
なのはは、フェイトのへその少し横あたりに頬を擦りつけ、更に左手で腰の辺りから鳩尾にかけてを、何度も何度も繰り返し撫でる。
「く……くすぐったいよ……」
フェイトが抗議するが、なのははお構いなし。空中に浮かんだスクリーンを見たまま、ゆっくりと撫で続ける。
最初、暫くは、くすぐったさと、それ以上進めてくれないじれったさに、もじもじとしていたフェイトだったが、なのはの単調な撫で摩りが、心を落ち着かせていった。
軽く頭を傾け、スクリーンから流れるドラマを見つつ、ぴったり寄り添ったなのはの身体の温かさと肌触りを堪能する。
なのはは、フェイトのへその少し横あたりに頬を擦りつけ、更に左手で腰の辺りから鳩尾にかけてを、何度も何度も繰り返し撫でる。
「く……くすぐったいよ……」
フェイトが抗議するが、なのははお構いなし。空中に浮かんだスクリーンを見たまま、ゆっくりと撫で続ける。
最初、暫くは、くすぐったさと、それ以上進めてくれないじれったさに、もじもじとしていたフェイトだったが、なのはの単調な撫で摩りが、心を落ち着かせていった。
軽く頭を傾け、スクリーンから流れるドラマを見つつ、ぴったり寄り添ったなのはの身体の温かさと肌触りを堪能する。
ただ、淡々と時間は流れていく。暖かななのはの頬をお腹に感じ、ゆっくりと撫でられる一方、自分もなのはの腰に頭を預けていると、なんだかドラマの時間があっと言う間だ。エンドロールが流れるまでが、異常に早かったような気がする。
「う~ん、これは続きが気になるねぇ」
なのはが言った。
フェイトも、なのはに撫でられ続けていたとはいえ、ドラマの筋は頭に入っていたので、それには同意見だった。
次に見られる時も、なのはに寄り添ってなら、なお良いが。
断りを入れたあと、身体を起こしたなのはが、先ほどの箱からDVDのケースを取り出す。
「どれが良いかな?」
今度はフェイトに尋ねてくる。先ほどのドラマは自分が選んだから、今度はフェイトに選べという事らしい。
暫く考えて、フェイトは一枚のディスクを選んだ。
「わ……私が入れてくるよ」
そう言って、フェイトは立ち上がった。
ラックに収められたプレーヤーの前に跪き、イジェクトボタンを押してディスクを取り出すと、ケースに収めた。次に、自分が選んだディスクを取り出し、トレイに置く。
だが、たったそれだけの事が、すごくドキドキした。トレイに置くとき、ディスクがカチカチと音を立てたほど。
さっきと立場が逆。今のなのはの位置からだと、全てが見えているに違いない。
見られているという羞恥と、見て欲しいという欲求、そして、見ていない──つまりは自分のカラダに興味が持たれていないという不安。それらが複雑にフェイトの胸中で絡み合う。
ディスクが呑み込まれたのを確かめて、くるりと振り返ると、なのはは少しリラックスした姿勢で、こっちを見ていた。
安心と、そして羞恥が心の中で大きくなる。一方、ただこっちを見ていただけかもしれないと不安にも思う。
ゆっくりと、なのはの傍らに戻ると、
「フェイトちゃん……」
と何故か手招きをする。
何だろう? と顔を寄せると、なのはは口元に手をあて、フェイトの耳に、
「少し赤いけど、昨日の……ちょっと強すぎた? ヒリヒリしない?」
ナイショ話のような潜めた声のその内容に、フェイトは一気に真っ赤になった。
やっぱり見てた。後ろから見てた。全部見られた。じっくり見られた………
恥ずかしさと、そして嬉しさで、フェイトの胸は弾け飛びそうだった。
「へ、平気………大丈夫……」
言いながら、フェイトはなのはの傍らに座る。心臓の音がやかましい。
リモコンで再生をスタートさせる。フェイトの選んだのは、家にある「お宝」の価値を専門家が鑑定して、その値段に一喜一憂するというものだ。海鳴市にいる頃からやっているのだから、比較的長寿のバラエティ番組になる。
頭のCMがおわるやいなや、早速最初のゲスト、結構名前の知れたタレントが持ってきた骨董皿の説明を右から左にスルーさせながら、フェイトは気持ちを落ち着かせ、この番組を選んだ理由を思い出していた。
最初の皿は、結局はたいした価値のない量産品で、けちょんけちょんに貶されて苦笑い。CMに入ったところでフェイトは声をかけた。
「ねぇ……なのは……」
「なぁに?」
「わたしも……枕にして……いい?」
蚊の鳴くような声で訊く。ディスクをこれにしたのは、それほど内容が無いから、他にしたい事をしながら見るのに都合がいいものだったから。
何を枕にするのかという、主語を言っていないが、これで伝わらないわけはない。
「いいよ……」
蕩けるような笑みで、なのはが言う。
「う~ん、これは続きが気になるねぇ」
なのはが言った。
フェイトも、なのはに撫でられ続けていたとはいえ、ドラマの筋は頭に入っていたので、それには同意見だった。
次に見られる時も、なのはに寄り添ってなら、なお良いが。
断りを入れたあと、身体を起こしたなのはが、先ほどの箱からDVDのケースを取り出す。
「どれが良いかな?」
今度はフェイトに尋ねてくる。先ほどのドラマは自分が選んだから、今度はフェイトに選べという事らしい。
暫く考えて、フェイトは一枚のディスクを選んだ。
「わ……私が入れてくるよ」
そう言って、フェイトは立ち上がった。
ラックに収められたプレーヤーの前に跪き、イジェクトボタンを押してディスクを取り出すと、ケースに収めた。次に、自分が選んだディスクを取り出し、トレイに置く。
だが、たったそれだけの事が、すごくドキドキした。トレイに置くとき、ディスクがカチカチと音を立てたほど。
さっきと立場が逆。今のなのはの位置からだと、全てが見えているに違いない。
見られているという羞恥と、見て欲しいという欲求、そして、見ていない──つまりは自分のカラダに興味が持たれていないという不安。それらが複雑にフェイトの胸中で絡み合う。
ディスクが呑み込まれたのを確かめて、くるりと振り返ると、なのはは少しリラックスした姿勢で、こっちを見ていた。
安心と、そして羞恥が心の中で大きくなる。一方、ただこっちを見ていただけかもしれないと不安にも思う。
ゆっくりと、なのはの傍らに戻ると、
「フェイトちゃん……」
と何故か手招きをする。
何だろう? と顔を寄せると、なのはは口元に手をあて、フェイトの耳に、
「少し赤いけど、昨日の……ちょっと強すぎた? ヒリヒリしない?」
ナイショ話のような潜めた声のその内容に、フェイトは一気に真っ赤になった。
やっぱり見てた。後ろから見てた。全部見られた。じっくり見られた………
恥ずかしさと、そして嬉しさで、フェイトの胸は弾け飛びそうだった。
「へ、平気………大丈夫……」
言いながら、フェイトはなのはの傍らに座る。心臓の音がやかましい。
リモコンで再生をスタートさせる。フェイトの選んだのは、家にある「お宝」の価値を専門家が鑑定して、その値段に一喜一憂するというものだ。海鳴市にいる頃からやっているのだから、比較的長寿のバラエティ番組になる。
頭のCMがおわるやいなや、早速最初のゲスト、結構名前の知れたタレントが持ってきた骨董皿の説明を右から左にスルーさせながら、フェイトは気持ちを落ち着かせ、この番組を選んだ理由を思い出していた。
最初の皿は、結局はたいした価値のない量産品で、けちょんけちょんに貶されて苦笑い。CMに入ったところでフェイトは声をかけた。
「ねぇ……なのは……」
「なぁに?」
「わたしも……枕にして……いい?」
蚊の鳴くような声で訊く。ディスクをこれにしたのは、それほど内容が無いから、他にしたい事をしながら見るのに都合がいいものだったから。
何を枕にするのかという、主語を言っていないが、これで伝わらないわけはない。
「いいよ……」
蕩けるような笑みで、なのはが言う。