なにが出るかな? 2
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事の起こりは、今日の昼休みだった。
いつもなら少年ジャ○プンなどを囲むクラスメイトの男子数名を集めた高野晴宏が、くどいくらいの前置きと、もったいをつけて紙袋から取り出したのは、有名モデル、音神亜里沙の写真集だった。
Dをはるかに超え、噂では、FともGとも囁かれる豊満な乳房を下から支えたそのポーズは、胸の谷間をくっきりと映し出し、もう数ミリもずらせば、乳首やヘアが見えそうなきわどいもの。
ページをめくれば、ノーブラで後ろ向きのポーズがあったり、寝姿で誘うような視線を向けていたりと、サカリのついた男子中学生にはちょっと刺激の強すぎる映像が並ぶ。
とはいっても、成人向け指定のシールのない写真だ。ギリギリのところで「見えてはいけない部分」は隠されている。だが、その上手い隠し方が、かえって煽情的なのも事実だった。
事の起こりは、今日の昼休みだった。
いつもなら少年ジャ○プンなどを囲むクラスメイトの男子数名を集めた高野晴宏が、くどいくらいの前置きと、もったいをつけて紙袋から取り出したのは、有名モデル、音神亜里沙の写真集だった。
Dをはるかに超え、噂では、FともGとも囁かれる豊満な乳房を下から支えたそのポーズは、胸の谷間をくっきりと映し出し、もう数ミリもずらせば、乳首やヘアが見えそうなきわどいもの。
ページをめくれば、ノーブラで後ろ向きのポーズがあったり、寝姿で誘うような視線を向けていたりと、サカリのついた男子中学生にはちょっと刺激の強すぎる映像が並ぶ。
とはいっても、成人向け指定のシールのない写真だ。ギリギリのところで「見えてはいけない部分」は隠されている。だが、その上手い隠し方が、かえって煽情的なのも事実だった。
「かーッ!いいなー、サイコーだよ!ああ、亜里沙さまぁ」
晴宏が亜里沙の胸に顔を押し付け、ぐにぐにと頬を擦り付ける。ただ、悲しいかな相手は写真。乳房のもつ柔らかさも、肌の感触も伝わってはこない。
「おれ、亜里沙さまの胸に顔を埋められるなら、死んでもいい~」
もうひとりの誰かが、神に祈るようなポーズでそう告解すれば、別の者は晴宏から女神の御姿を奪い取ろうとと懸命になる。
「ああ………このおっきムネ……ぷにぷにのムチムチで、ぱよんぽよんなんだろーなーぁ……ひひ…いひひひひ……ふへへへへ…………」
と、すでにアブナイ領域に行っている者もいる。
睦月は、そんな級友を珍獣でも見るような目で見つめた。
それは睦月も男のコだから、女性の裸に興味はある。それがキレイな裸ならなおさらで、見てみたいという気持ちもあるにはある。売れっ子のモデルだけあって、確かに亜里沙のプロポーションは素晴らしいの一言に尽き、正直、睦月もページをみてドキドキはした。
けれど、写真集は写真集。実物ではなく、印刷されたものだ。それもオトコとして「見たい」と思うところがバッチリ見えているならいざ知らず、肝心なところは全てギリギリで隠されている裸の一歩手前。そんなモノに、これほどに夢中になり、顔を押し付けてまで喜ぶというのが、睦月には今ひとつ理解できない。
だが、世の中のすべての男は、自分と同じ欲望を持って当然と思っている晴宏と同志一同は、睦月の一歩引いた態度と不思議そうな表情を「恥ずかしがっているための遠慮」と受け取った。
「睦月くぅん、何をそんなに遠慮しているのかね? キミもこの美しい女神様の裸体を拝謁したまえ」
そう言った晴宏が、神に授けられた戒めの石板のように、両手で開いた写真集を頭上に掲げる。睦月を除くその場の全員が平伏しかねない勢いだった。
まぁたしかに極小のマイクロビキニの下だけを身につけ、胸は両腕で隠して上目遣いに微笑む亜里沙は、女神と言ってもよいかもしれない。
「ボ………ボクはいいよ、別に……」
睦月は一瞬、写真集に目をやったものの、嫌な罪悪感を感じ、それを断ろうとした。
「まぁまぁ、睦月ちゃん、ホレホレ、これなんかソソルだろ~」
友情に厚い晴宏は、逃げようと身を引く睦月に歩み寄ると、その頭をヘッドロックでがっしりと捕まえ、ページの中の亜里沙の乳房をぐりぐりと押し付ける。
「あ……ちょ……やめ……」
「ほれほれ、これなんか良いだろう?」
抗議を無視して、別のページをめくり、さらに睦月の頬に押し付ける晴宏。
「なぁ、いいだろう? このたわわな胸に顔をうずめ、キミも神の国に行くのだ、睦月くん。ほぉら、どうだ? 柔らかそうだろう? きっとぷにゅぷにゅだぞぅ。 気持ちいいぞぉ」
柔らかい、ぷにゅぷにゅ………
そのキーワードに何かを感じたのか、睦月は近すぎる紙面に写った、亜里沙に焦点をあわせた。
先ほどのページと違い、ベッドに横たわって、衣類は何も身につけていない。だが、見えてはいけないところを隠すため、縄のように結われた白い布が2本、申し訳に身体を覆っている。
乳首は見えないが、谷間もくっきりとしたその膨らみは確かに柔らかそうだ。
確かに……あの柔らかさは、気持ちいいよなぁ……肌はすべすべで、触るとふわふわで、でも跳ね返すような弾力が……
意識の一部がパージされ、記憶の棚からその鮮烈なイメージを拾い出してくる。そして、視覚の情報の一部をそのイメージと入れ替えた。
丁度、いまの亜里沙のようにベッドに横たわり、けれど、亜里沙と違い、その全てを睦月の目に晒す、しどけない少女の姿──。
晴宏が亜里沙の胸に顔を押し付け、ぐにぐにと頬を擦り付ける。ただ、悲しいかな相手は写真。乳房のもつ柔らかさも、肌の感触も伝わってはこない。
「おれ、亜里沙さまの胸に顔を埋められるなら、死んでもいい~」
もうひとりの誰かが、神に祈るようなポーズでそう告解すれば、別の者は晴宏から女神の御姿を奪い取ろうとと懸命になる。
「ああ………このおっきムネ……ぷにぷにのムチムチで、ぱよんぽよんなんだろーなーぁ……ひひ…いひひひひ……ふへへへへ…………」
と、すでにアブナイ領域に行っている者もいる。
睦月は、そんな級友を珍獣でも見るような目で見つめた。
それは睦月も男のコだから、女性の裸に興味はある。それがキレイな裸ならなおさらで、見てみたいという気持ちもあるにはある。売れっ子のモデルだけあって、確かに亜里沙のプロポーションは素晴らしいの一言に尽き、正直、睦月もページをみてドキドキはした。
けれど、写真集は写真集。実物ではなく、印刷されたものだ。それもオトコとして「見たい」と思うところがバッチリ見えているならいざ知らず、肝心なところは全てギリギリで隠されている裸の一歩手前。そんなモノに、これほどに夢中になり、顔を押し付けてまで喜ぶというのが、睦月には今ひとつ理解できない。
だが、世の中のすべての男は、自分と同じ欲望を持って当然と思っている晴宏と同志一同は、睦月の一歩引いた態度と不思議そうな表情を「恥ずかしがっているための遠慮」と受け取った。
「睦月くぅん、何をそんなに遠慮しているのかね? キミもこの美しい女神様の裸体を拝謁したまえ」
そう言った晴宏が、神に授けられた戒めの石板のように、両手で開いた写真集を頭上に掲げる。睦月を除くその場の全員が平伏しかねない勢いだった。
まぁたしかに極小のマイクロビキニの下だけを身につけ、胸は両腕で隠して上目遣いに微笑む亜里沙は、女神と言ってもよいかもしれない。
「ボ………ボクはいいよ、別に……」
睦月は一瞬、写真集に目をやったものの、嫌な罪悪感を感じ、それを断ろうとした。
「まぁまぁ、睦月ちゃん、ホレホレ、これなんかソソルだろ~」
友情に厚い晴宏は、逃げようと身を引く睦月に歩み寄ると、その頭をヘッドロックでがっしりと捕まえ、ページの中の亜里沙の乳房をぐりぐりと押し付ける。
「あ……ちょ……やめ……」
「ほれほれ、これなんか良いだろう?」
抗議を無視して、別のページをめくり、さらに睦月の頬に押し付ける晴宏。
「なぁ、いいだろう? このたわわな胸に顔をうずめ、キミも神の国に行くのだ、睦月くん。ほぉら、どうだ? 柔らかそうだろう? きっとぷにゅぷにゅだぞぅ。 気持ちいいぞぉ」
柔らかい、ぷにゅぷにゅ………
そのキーワードに何かを感じたのか、睦月は近すぎる紙面に写った、亜里沙に焦点をあわせた。
先ほどのページと違い、ベッドに横たわって、衣類は何も身につけていない。だが、見えてはいけないところを隠すため、縄のように結われた白い布が2本、申し訳に身体を覆っている。
乳首は見えないが、谷間もくっきりとしたその膨らみは確かに柔らかそうだ。
確かに……あの柔らかさは、気持ちいいよなぁ……肌はすべすべで、触るとふわふわで、でも跳ね返すような弾力が……
意識の一部がパージされ、記憶の棚からその鮮烈なイメージを拾い出してくる。そして、視覚の情報の一部をそのイメージと入れ替えた。
丁度、いまの亜里沙のようにベッドに横たわり、けれど、亜里沙と違い、その全てを睦月の目に晒す、しどけない少女の姿──。