【ブログ版】ゆんゆんが大好き

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「はい、スカート……急がないと、先生来ちゃうわ……知世ちゃん、大丈夫？　起きれる？
　言いながら、利佳は知世の肩を揺する。絶頂に濁った瞳だったが、知世が薄く目をあけ、小さく頷くと、気だるそうに上体を起こした。
　隣では、さくらがスカートのホックをかけ、ジッパーをあげている。
　やや遅れ、利佳に支えられながらだったが、身体を起こした知世は、のろのろと襞スカートを履き、ジッパーを上げた。
　まるで、そのタイミングを見計らっていたように、教室の前の扉が開き、寺田が入って来る。
　さくらと利佳に手を取られ、何とか立たせてもらった知世は、ややふらつきながらも後ろから二番目の自分の席に腰を下ろした。
　それを確かめ、さくらは机を支えに、自分の席につく。利佳も自分の席へと急いだ。
　ざわめきが少しづつ静まっていき、全員が教壇の寺田を見る。出席簿を開き、その顔を一通り見渡すと、
「…………全員、出席だな」
　と静かに言った。
　週末の行事変更や、その際の持ち物。授業のスケジュールなどについて、寺田はゆっくりと話し、ひとつづつ確認を取る度に、クラスを『はい』という返事が波打つ。
「さて………朝のホームルームは以上なんだが………隣の１組から、苦情が入ってるぞ」
　と、軽く全員を睨む。
「向こうの男子からは、『２組の男子が、うちの女子にちょっかい出して困る』　同じく女子からは、『前戯や後戯で手抜きされた感じがした──』　と、いう事だ」
　寺田は、席の半分を占める男子を縫うように、やや厳しい視線を走らせると、
「お前達、せっかくこうして複数の男女でグループになってるのは、なんのためだと思ってる？　ちゃんと相手の女のコの反応を見て、前戯、挿入、後戯がスムーズにできるようになっておくように。　今のうちにちゃんとテクニックを身に着けておかないと、将来、後悔することになるぞ？」
　と、苦言を呈する。
　案の定、耳の痛い話だったのか、返事がない。
「わかったか？」
　寺田がもう一度念を押すと、
「先生……」
　と、ひとりの男子が、おずおずと手を上げた。
「ん？　なんだ？」
「えーと……それじゃ、木之本さんに、女のコ同士でえっちするの、やめさせてもらえませんかぁ？」
　その発言に、まず教室の中に「おおー」　というどよめきが走り、続いて、
「ほぇえ～！？」
　と、突然に名指しされたさくらの素っ頓狂な声が重なった。
「木之本と、何の関係があるんだ？」
　寺田が不思議そうに訊ねると、
「だって……木之本さん、毎日、大道寺さんと、あと他にも何人も、女のコとっかえひっかえして、えっちしてるんです。その間、クラスの女のコがふたり足りなくなるじゃないですか？　男子が余って、いつも困ってるんです」
　あまりに当然の理屈に、クラスの男子から「そうだ、そうだ」の声があがった。２組は男女数が同じなので、確かにレズ行為中は、女子が２人足らず、男子が２人余る事になる。
　だが、廊下側の女子が突然に立ち上がって、
「そんなの反対です！　女子はみんな木之本さんとのえっちを、楽しみにしてるんです！」
　と手をあげて、言った。今度は女子から「そうだ、そうだ」の声があがる。
　一方、男子からは
「何言ってんだよ！　ボクらだって、木之本さんとスルのは楽しみなんだぞ。中がすっごい気持ちイイんだから」
　という野次が飛んだ。
「そもそも、男子のえっちが下手っぴだから、木之本さんの『上手な』指や舌が恋しくなっちゃうのよ」
　別の女子がまぜっかえす。「上手」に力を込めると、共感する女子が多かったのか、多くがうんうんと頷く様子がみてとれた。
「そんなのヘンだよ！　木之本さんは女のコなんだから、男のコとせっくすするべきだよ！　いくら上手いからって、女のコ同士なんて、不自然じゃないか」
「男子勝手すぎ！　木之本さんが自分達より上手だからって、ヤキモチはみっともないわよ！」
「女子こそ、自分達より中がキモチイイ木之本さんに妬いてるから、男子から遠ざけようとしてるんじゃないのか？」
「静かに、静かに」
　いつもはまとまりがあって、仲のよいクラスが、男女で真っ二つになりそうな雰囲気だ。寺田は両手をあげ、なんとかそれを制そうとする。
　さくらはというと、両手を握り締め、おろおろするばかり。